1年

1年「はしのうえのおおかみ」【親切、思いやり】の指導案はこうする!

親切、思いやり
time lapse photo of cable bridge during golden hour

こんにちは。
今日は
『1年「はしのうえのおおかみ」【親切、思いやり】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

『はしの上のおおかみ』は
ほぼ全ての教科書会社で取り扱われている
定番教材です。
知っている人、実践された人、
研究授業でしっかりと研究した人もいることでしょう。

定番教材なので、
ある程度実践の型は
決まってきているように感じますが、
本当にそれが子どものためになっているか、
立ち止まって考えてみる必要があります。

定番教材に、臆せず立ち向かっていきましょう!

では、解説です!

順番に解説します。

1 教材について

B 主として人との関わりに関すること
「親切、思いやり」
1・2年生の目標・・・身近にいる人に温かい心で接し、親切にすること

1年生「はしのうえのおおかみ」(日本文教出版)

「はしのうえのおおかみ」あらすじ

一本橋をおおかみが渡ろうとしています。
うさぎやきつね、たぬきが通ろうとすると、
「もどれもどれ。」とどなって
自分が先に通りました。

ある日、おおかみがいつものように渡ろうとすると
おおきなくまが渡ってきました。
おおかみは下がって譲ろうとしましたが、
くまは、おおかみを持ち上げて後ろにそっと下ろしました。

次の日、おおかみはうさぎにも
同じように体を持ち上げて、後ろにそっと下ろしました。

不思議なことにおおかみは前よりずっといい気持ちでした。

man wearing white shirt siting on bridge overlooking at mountain

2 内容項目と教材

重点は?

・内容項目は「親切、思いやり」です。

・親切は行為、思いやりはです。
親切な行動とは言いますが、
思いやりの行動とは言いません。
「思いやりのある」行動と言いますよね。
つまり思いやりは心なのです。

・この内容項目は、どちらか重点を決めて授業をしましょう。
つまり、「親切」か「思いやり」か
重点はどちらなのか教材から考えるということです。

・「親切、思いやり」の教材は
その両方を追究するようにはなっていません。
どちらかに軸足が必ず置かれています。
それをどちらなのか、考えましょうということです。

・『はしの上のおおかみ』では、
「親切」に重点が置かれています。
ここでは親切を重点として話を進めて行きます。

・かといって、「思いやり」に重点を置いて
間違いと言うわけではありません。
「授業者が重点を決める」ことが大切なのです。

・『はしの上のおおかみ』の授業では、
役割演技がよく用いられます。
教師はくま、子どもはおおかみになり、
おおかみの気持ちを感じさせることがねらいです。

・実際に動いて、気持ちを実感する活動は
とても大切です。

手段が目的にならないようにする

・注意点としては、
「役割演技が動作化しないようにする」ことです。

・役割演技は、役になりきることで、
その気持ちを感じることがねらいです。
時にはアドリブもあるでしょう。
アドリブができるということは、
その役になりきっているということなのです。

・動作化は違います。
ただ動きを真似るだけです。
話をなぞるだけで、ただ動作をつけて、
当たり前の気持ちを確認するだけでは、
道徳性を深める目的に向かっているとは言えません。

・動作化にならないために、くま役の教師も役になりきって
発問することが大切です。

板書は自由

・道徳では黒板の使い方は自由です。
これまで慣例となっていた縦書きの
川流し型の板書が悪いわけではないですが、
子どもの思考を広げる観点では、
川流し型以外が有効なことが多いです。

・多くの板書の型がありますが、
『はしの上のおおかみ』は関係整理型がいいでしょう。

・図のとおりです。

・このように、関係図を書くことで、
見えてくるものがあります。

・おおかみの1回目と2回目の
うさぎに対する行為の違いは何か、
それを生む心の違いは何かを
考えやすくなります。

・教科書に書かれていない
道徳的価値に気付くことができます。
それが、「多面的・多角的に見る」ということなのです。

brown wooden stairs in front of water

言葉より表情で書く

・また、1年生という発達段階から、
言葉で表現するよりは、
「どんな顔をしていると思う?」と
表情を書くようにするといいでしょう。

・表情で考えの根拠を作り、
それを元に発表することで、
子どもは考えを言いやすくなります。

・この図では、おおかみの1回目の表情を空けています。
どんな顔になると思いますか?
また、なぜ2回目は笑顔になったんですか?
他に笑顔はありますか?

・なんだか気付いたら言いたくなってきませんか?
子どもに聞いてみたくなってきませんか?

当たり前を見過ごさない

・ところで、おおかみはくまに優しくされましたが、
うさぎに同じことをしたのはなぜでしょうか?

・自分が親切の恩恵を受けていれば、
他の人にする必要はないのではないのでしょうか。

・ここが「当たり前」だと思って見過ごしているポイントです。
おおかみは、くまからもらった親切を
当然うれしく思っています。

・そして、その親切は自分だけでもっているのはもったいなくて、
他の人にも同じように親切にして、
その気持ちを味わってほしいと思っています。

・これが、「親切」のもつ本質的な良さです。
自分がされたら、他の人にもしたくなる。

・つまり、親切はリレーのバトンのようなものなのです。
人から人へ受け継がれていく。

・「つなぐ」も親切のキーワードです。
これを知っておくと、子どもが気付いた時、
「なるほど!」と言ってあげられそうですね!

Golden Gate Bridge, San Francisco California

3 導入

・「人に優しくされたことがある人はいますか?」
と生活経験を尋ねます。

・「優しくされたとき、どんな気持ちでしたか?」
「優しくした人は、いい気持ちではないのですか?」
と重ねて聞きます。

・導入では「親切」というワードに無理に迫らず、
優しくした、された経験を出し合うだけで充分です。

4 発問

場面を区切る発問

まずは子どもの思考を狭める
「場面を区切る発問」です。

【場面を区切った発問】
・おおかみがうさぎにどなった時、どんな気持ちだっただろう。
・くまに会った時、おおかみはどんな気持ちだっただろう。
・くまに持ち上げられた時、おおかみはどんな気持ちだっただろう。
・うさぎに2回目に会った時、おおかみはどんな気持ちだっただろう。

・これらは、子どもの思考を狭める発問です。
それぞれの質問で、異なる3つの視点から意見を言えますか?
ある程度答えの幅が限定される発問になっていませんか?

・これらの発問は、
結局のところ子ども達は同じようなことを言うだけの
言葉遊び的時間になり、道徳性が深まりません。
考えるのは簡単ですが、
その分浅い意見しか期待できないでしょう。

・場面を区切ると、考えやすくなり
発表はしやすいですが、
道徳性を深めることは難しくなります。

brown wooden dock on green grass field under gray cloudy sky during daytime

多面的・多角的に考える発問

・では、次に、
教材全体を捉えて、
多面的・多角的に考える発問を紹介します。

【多面的・多角的に考える発問】
・おおかみより、くまの方がえらいのではないか。
・なぜおおかみは、はしを通らせないようにしたのだろう。
・最初と最後の「えへん、えへん。」は、心は違うだろうか。
・くまは怒っていないのだろうか。
・うさぎは、行動が変わったおおかみをどう思うだろうか。
・おおかみのいいところはどこだろう。
・くまは、おおかみと比べて何がすごい?
・くまがあげたものは何だろう。
・おおかみがもらったものは何だろう。
・「一本橋」に名前をつけるとしたら、○○橋? そのわけは?
・おおかみは、うさぎに同じことをする必要はないのではないか。
・おおかみの親切は、橋の上以外に、どんなところで使えるだろうか。

・いかがでしょうか。
それぞれ、考える価値のある、
深い発問です。

「こどもさんをあなどるな」

・大人でも難しい発問ですよね。
「子どもには無理だ」と思っていますか?
そんなことはありません。
私達の想像以上に、子ども達はハイレベルな思考をできます。

・「無理だろう」は、
頭の固くなった大人のエゴで、
実は頭の柔らかい子どもは、道徳性を深める素地は充分あるのです。

・もっと厳しいことを言うと、
語彙力が未熟な中で最大限、
感じたことを伝えようとしている子どもの発言に対して、
その真意を汲み取れない、
もしくは汲み取ろうとしない
大人の未熟さが原因なのです。

・子どもは、
「先生が私の意見を
分かってくれないのがいけないんだ。」
なんて言いいません。

・しかし思ってはいるかもしれません。
子どもに敬意をもって、
教師も「一学習者」としての意識をもっていれば、
子どもの意見は全て尊いものと思えます。

・ちょっと厳しいことを言いましたね。
話を戻しましょう。

子どもは考えることができる、とはいってもすぐには発言できません。
子どもにとっても難しいものです。
1つ発問をしたら、しーんとなります。
必ずしーんなります。
それは、「答えられないしーん」のではなく
「考えているしーん」なのです。
その時に聴いてみてください。
「時間をかけて考えたい人?」
きっと多くの手が挙がるでしょう。
そこで、
「(ノートに)書いてみましょう。」
「友達と話してみましょう。」
ということで、
書くことや話し合いが有意義なものになるのです。

aerial photography of yellow bridge surrounded by body of water

5 まとめ

・次のようなポイントが子どもから出ると、
いいまとめに使えそうですね!

☆親切は自分がされたら、他の人にもしたくなる。
 ☆親切は、された人もした人もいい気持ちになる。
 ☆親切はつながっていく。

・さらに、おおかみは親切にするだけなく、
「相手を大切に思う心」をくまからもらったので、
親切にしたいと思ったのです。
だから、
☆親切は、相手を大切に思う心から生まれる
というポイントが入ってもいいですね!

はい、ということで今日は
『1年「はしのうえのおおかみ」【親切、思いやり】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!