こんにちは。
今日は『4年「百羽のつる」【感動】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
今日の話題はDの視点、感動です。
苦手な人が一番多い内容項目です。
道徳の最難関と言っても過言ではないでしょう。
しかし、ポイントを押さえれば怖くありません!
じっくりと感動について考えていきましょう。
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
「感動、畏敬の念」
3・4年の目標・・・・美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。
4年生「百羽のつる」(光文書院)
あらすじ
百羽の鶴が飛んでいました。長い距離を飛び続けてもうヘトヘトです。
目的地はもうすぐそこ。
ゴール目前でみんなは力が入り、少しだけ速くなりました。
しかし、後ろを飛んでいた子どものつるは、病気でここまでやっとついてきたのでした。
速くなったみんなについていけず、気を失って落ちていきました。
それに気づいた99羽のつるが、一斉に子どものつるに向かい、網を作って子どものつるを受け止めました。
先頭のつるが子どもを足で抱え、何事もなかったかのようにみんなに「さあもうすぐだ。がんばれよ。」と言いました。
百羽のつるは、空の彼方へ飛んでいきました。
2 内容項目と教材
難しいと思う人が多い、「感動、畏敬の念」です。
子どものつるが最後まで頑張ったことは「希望と勇気、努力と強い意志」
みんなで協力して子どものつるを助けた行動は「家族愛」または「親切、思いやり」
焦点を当てる場所によって、内容項目はいくらでも変わります。
もちろん、多面的・多角的な見方が道徳では求められていますから、上記の道徳的価値に子どもが気付いたら、取り上げて認めることは必要です。しかし授業の主軸となる価値ではありません。
では、『百羽のつる』で「感動」の授業をするには、どこに軸を置いたらいいのでしょうか。
答えは、ありません。
なぜなら、「感動」する部分は人によって異なるからです。
ある場面を取り上げて、「ここに感動があるんですね。」と見つけても、子どもは全然ちがう部分に感動しているかもしれません。
そうなると、感動の押しつけの授業になってしまい、面白くありません。
「感動」を扱う時の鉄則は、
感動させるのではなく、感動を生む心について考えよ
です。
なぜ、それが美しいと思うのか。
なぜ、美しいと感じたのか。
その部分を話し合うと、共通部分が出てきます。
その共通部分が、話題の核となるのです。
具体的に説明します。
この『百羽のつる』で感動する場面はどこでしょうか。
子どものつるを、99羽のつるが疲れた体にも関わらず一丸となって当然のように助ける姿
ここが当然注目されるべき「美しい」ポイントですが、他にも「美しいポイント」はあります。
どこでしょうか、考えてみてください。
「美しい」と感じるだろうポイント
・百羽のつるが1羽も脱落せず、目的地近くまでたどり着いていること。
・子どものつるの、みんなに迷惑をかけまいと黙っている気持ち。
・長い距離を飛んできて、目的地が見えたときの喜び。
・子どものつるの思いを、何も言わずに汲み取った他のつるの洞察力。
・病気だったことを黙って飛び続けた子どものつるの頑張り。
・病気だったことを黙っていた子どものつるの気遣い。
・何事もなかったように「もうすぐだ。頑張れよ。」とみんなに言った先頭のつるのリーダーシップ。
・百羽のつるが一斉に飛んでいる風景。
どうでしょうか。
これらのことに「感動した」と子どもが言ってきたら、どうしますか?
「そこは違うね。」と否定しますか?
「感動」とは、美しいものや気高いものにふれた時に芽生える感情です。
美しい、気高い(シンプルにすごい)と思うことは子どもによってちがいます。
大切なことは、感動する場面の1位を決めることではなく、みんなそれぞれ異なる感動の場面の共通部分を探すことです。
感動は、これまでの経験をもとにして感じることが多いです。
その経験をもとにして、「なぜ感動するのか」が語れるといいですね。
その議論に正解はありません。
感動ではなく、感動を生む心について考える時間としましょう。
ここまで読んで、モヤモヤとしている人も多いでしょう。
A〜Cの視点に比べて、Dの視点は、明確な結論は出ないからです。
あえて言葉にする必要はありません。
余韻を味わう授業にしてください。
3 導入
T:教師 C:子ども
T:「美しい」ってどういうことですか?
C:うーん。
C:きれいなこと。
T:なるほど。では美しいものって何がありますか?
C:○○
※ここでは、人や物など物理的なものの意見がほとんどだと思います。
景色や人の心など抽象的なものになったら、「どうして?」「もっと詳しく教えて。」と突っ込んでみます。
4 発問
・この話で美しいものはなんだろう。
・この話を第1話と2話に分けるなら、区切りはどこだろう。
(この発問は、1話目で視聴者を引きつけるためには、どの部分が核になるかを考えるための発問です。)
・百羽のつるの目的はなんだろう。
・湖のほとりに着いたら、どんな会話をするだろう。
・子どものつるに声をかけるなら、どんなことを言いたいか。
5 まとめ
まとめは無理に言葉にする必要はありません。
強いて言うなら、
「人は、美しいものだけでなく心にも感動する」
ですね。
A〜Cの視点とはちがう意識で授業をするようにしてくださいね!
はい、ということで今日は
『4年「百羽のつる」【感動】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。