特別の教科 道徳

道徳の「まとめ」は、してはいけない!

道徳のまとめ

こんにちは。
今日は、『道徳の「まとめ」は、してはいけない!』
このテーマでお話しします。

道徳の授業の最後の「まとめ」って、どうやっていますか?

子どもたちがたくさん発表をして、
話し合いが活発になった。
そこで出た意見を取り入れたまとめにしたいけど、
うまくいかない。

こんな経験は、誰しもあることでしょう。
今日は、道徳の「まとめ」について、
お話しします。

目次です。

順に解説します。

1 まとめはしてはいけない!?

結論から言うと、まとめは「してはいけない」ではなく、
「できないときもある」と割り切って、
まとめを無理にしなくてもいいです。

道徳という教科の基盤になるものは、
授業者であれ、子どもであれ、
これまでの生活経験で得た考えや経験です。
考えや経験は見えにくいため、
言葉にすることが難しいからです。

そもそも、子どもに限らず
人間は、思考を全て言語化することは不可能です。
大人に比べて子どもは語彙力が足りないですから、
特に、考えを言葉にすることは難しいでしょう。

大人である授業者が、「こういうこと?」と
発言の意図をくみ取って、まとめていく必要があります。

しかし、うまくまとまらないこともあります。
それでいいのです。
○○ってどういうことだろ?という発問を授業でしたとして、
答えを出すことが目的ではなく、
考える中で出た意見と話し合いに、
道徳的な価値が詰まっているのです。

仮に、「まとめ」として言葉にして
授業を締めたとしても、
そのまとめが子どもたちにとって、
納得感のあるものでなければ、
ただの文字の羅列です。

授業者が用意したまとめや、
無理にまとめた言葉は、
借り物のような感じで、
子どもたちには何も思い入れのないものになります。

それならば、思い切って「まとめ」とせず、
「今日の授業で感じたこと、考えたことを感想で書きましょう。」と
オープンエンドにする方が、広がりのある授業になります。

他の教科と違って、45分という枠で考える必要はありません。
きっちりと「まとめ」を言葉にする必要はありません。

だから、『特別』の教科 道徳なんですよ!

2 45分で考えは変わらない。

小学校の授業の1単位時間は45分、中学校は50分であることが多いでしょう。
この45分ないし50分で、子どもの道徳的な価値は変わるのでしょうか。

この世に生を受けて10年前後の子ども。
10年という蓄積が、たったの45分で変わるはずありません。
いえ、むしろ変わってはいけません。
「先生、ぼくは今日の授業で考えが変わりました!」と
もし子どもが言ってきたら、どう思いますか?

全くないとは言いませんが、それほど人生観が変わるような授業は、
そうそうないでしょう。
毎回、「考えが変わりました!」と言ってくる子がいたら、
ちょっと疑ってしまいます。

では、道徳の授業はなんのためにあるのでしょうか。
それは、「きっかけ」です。
45分で、これまで当たり前だと思っていたことを
立ち止まって考えるきっかけを得るのです。

考えて、結論までたどりつくに越したことはないですが、
この世の中の問題は、すぐに結論の出ることばかりではありません。

事象によっては、知識を入れないと考える土俵にも上がれないこともあるでしょう。
歴史を知らなければならないこともあるでしょう。
逆に、フラットな頭で考えた方がよいこともあるでしょう。

「人間性の涵養」という言葉が、新学習指導要領の3本目の柱で示されました。
『涵養』とは、じっくりと水が染みこんでいく様子のことを言います。
道徳の授業も同じです。

道徳の授業で得たきっかけという水を、
生活じっくりと自分の考えにしみこませていくのです。

そうして、生活の中で、
「あ、○○はこういうことだったのか。」と
また新たな気付きが生まれる。
この繰り返しで、人は成長していくのです。

道徳の授業はそのきっかけにすぎないのです。

3 ジグソーパズル型よりラッピング型

そうはいっても、「まとめ」をしなければいけない!
と思っている先生、まだいるでしょう。

古い考えなので改めましょう!
と言葉を強めに言っても、批判されるでしょうから、
例を出します。

まとめは、
ジグソーパズル型よりも、ラッピング型を心がけましょう。

ジグソーパズルは、1枚の絵というゴールがあって、
ゴールに向かってピースを当てはめていき、
最終的に絵を完成させます。
完成図は変わらないし、変えようがありません。

道徳のまとめも、既定路線や計画ありきで、
子どもがどんな発言をしても、
「まとめ」というピースは変えず、
教師が用意したまとめを提示する。

これでは、子どもはせっかく発言したのに、
考えを広げたのに、面白くないと感じるでしょう。

そうではなく、
ラッピング型を心がけましょう。

ラッピングは、中に包むものがどんな形でも、
ラッピング用紙が形を変えて、
ものを包みます。

道徳の理想のまとめも同じです。
子どもの発言を、
包み紙のように変幻自在に形を変え、
「○○って△△っていうこと?」と
子どもと確かめながら
言葉にしていく。

この過程が、子どもの納得解を生むのです。

ジグソーパズル型ではなく、
ラッピング型のまとめを心がけましょう!

 

はい、ということで今日は
『道徳の「まとめ」は、してはいけない!』
というテーマでお話ししました!