こんにちは。
今日は『6年「ロレンゾの友達」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
「ロレンゾの友達」は名作中の名作です。
研究授業でやったという人も多いでしょう。
また、これから研究授業ということで、この記事にたどり着いた方もいるでしょう。
この記事は、これまでにない視点で書かれています。
新しい視点を得て、視野を広げましょう。
教師が多面的・多角的に見ていると、子どもの見方も広がります。
では、解説です!
順番に解説します。
B 主として人との関わりに関すること
「友情、信頼」
5・6年の目標・・・・友達と互いに信頼し、学び合って友情を深め、異性についても理解しながら、人間関係を築いていくこと。
6年生「ロレンゾの友達」(日本文教出版)
あらすじ
ロレンゾの友達、アンドレ、サバイユ、ニコライはロレンゾからの手紙を見ていた。
「20年ぶりに木の下で会おう」
しかし、3人は昨晩、ロレンゾが罪を犯して逃げてきたという噂を聞いた。
3人は木の下に迷いながら行ったが、結局ロレンゾは来なかった。
アンドレは「もし家にロレンゾが来たら、お金を持たせて逃してやる」
サバイユは「自首をすすめる。でも納得しないなら逃す」
ニコライは「ぼくも自首をすすめる。でも納得しないなら警察に知らせる。」
結局、ロレンゾは疑いをかけられただけで、罪を犯していないことがわかった。
久しぶりに会った4人は酒場で語り明かしたが、3人は木の下の会話のことを口にしなかった。
2 内容項目と教材
道徳の教材として、言わずと知れた定番教材です。もはや名作教材と読んでもいいでしょう。
アンドレ、サバイユ、ニコライの3人は、ロレンゾを信じたい気持ちをもちながらも、それぞれの考えを展開しています。この三者三様の考えから、自分に近い考えを選び、それを足掛かりにして、自分の意見を言う展開が王道でしょう。
T:3人の考えの中で、あなた誰の考えに近いですか?
C:アンドレ。なぜなら・・・・
C:サバイユ。だって・・・
といった感じでしょうか。
この展開は、正直オススメしません。
なぜなら、この物語の舞台は、あまりにも子どもの現実と離れすぎているからです。
時代も、国も、状況も、ほとんどが子どもの生活とかけ離れています。
自分とはちがう世界について考えることは、自分ごととして考えているようで、子どもは全く自分ごととして捉えておらず、評論家的に考えを述べるだけになってしまうのです。
つまり、3人の考えの比較はダメということです。
ではどうすればよいか。
3人に共通する心を考えましょう。
3人は、ロレンゾに対して完全に信じているわけでもないし、完全に疑っているわけでもありません。
まさしく、半信半疑の状態です。
では、なぜ半信半疑なのでしょうか?
友達とは、何があっても信じ合える人ではないのか。
友達とは、何があったら友達ではなくなるのか。
3人はモヤモヤと迷っていますが、もし迷わなかったらどうでしょうか。
アンドレ:ロレンゾは悪いことをしたようだ。
サバイユ:火のないところに煙は立たないというし、悪いことをしたにちがいない。
ニコライ:じゃあロレンゾを僕たちが捕まえて、警察に言おう。それがロレンゾにとっていいからね。
3人:よし、そうしよう。
どうでしょうか。
3人の主張は、教材の主張とほぼ変わりません。
ですが、この会話は迷いがありません。
すると、なんとなく冷たい感じがしますね。
では、教材のように迷ったら正解なのでしょうか。
もしくは、上の会話のように迷わずに疑うことが正解なのでしょうか。
『迷う』ということは、「友達のことを考えている時間」ということです。
迷いがあるかないかで、友達かどうか判断できるのでしょうか。
子どもたちと考えてみたいですね。
答えはあえて書きませんが、「迷う」という過程は、大切なポイントになりそうです。
また、結局のところロレンゾの疑いは晴れたわけですが、3人の心は晴れたのでしょうか?
いっときでも、ロレンゾのことを疑ってしまい、警察に自首させるなどと言ってしまった事実は消えません。
この教材の後を考える発問も、とても有効ですね。
3 導入
T:教師 C:子ども
T:「友達」ってどんな人のことですか?
C:一緒に遊ぶ人。
C:なんでも言える人。
T:じゃあ一緒に遊ばなくて、なんでも言えなかったら友達ではないんですね?
(※子どもの言葉を使って、あえて逆の定義をして、価値の再定義を始めます。)
C:うーん、そうじゃない友達もあるかもしれない。
T:今日は、『本当の友達』について考えていきましょう。
4 発問
・3人がロレンゾに、木の下で話したことを言わなかったのは、疑ったことが気まずいからだろうか。
・友達は何でも言い合える関係なのだから、木の下でのことを言わなかった3人とロレンゾは本当の友達と言えないのではないか。
・3人は、ロレンゾが罪を犯したと本当に思っているのだろうか。
・3人の中で誰と友達になりたいか。
・罪を犯した友達をかばうのが正解だろうか、警察に自首させるのが正解だろうか。
・この話で、『悪い人』は誰だろう。
・ロレンゾはなぜ、3人を警察に呼んだのだろう。
・3人とロレンゾは友達だろうか。
・3人は何と何で悩んでいたのだろう。
・木の下に来る場合と、誰か1人の家に行く場合、どちらがロレンゾは話しやすかっただろう。
・「絶対にそんなことをしないと思っていた」ことは、うそだろうか、本当だろうか。
・4人は友達だろうか。
・3人は、迷って話し合っているが、迷わずに疑うことを決めた方がよかったのだろうか。
・迷って信じる時と、迷わずに信じる時、どちらが友情レベルは高いだろう。
・警察に呼ばれた理由が、ロレンゾが本当に罪を犯していたことだったら、3人はなんと言うだろう。
・このあと、3人はどういう会話をするだろう。
5 まとめ
『本当の友達とは( )』
という文章を提示して、空欄を埋めさせるまとめは面白いですね。
なぜなら、この『ロレンゾの友達』は、友情についての気づきがたくさんあるから、子どもによって感じる部分がちがうからです。
それらを一つの定義でまとめるのは無理ですし、広がりもありません。
■友達は、何があっても信じる心は捨てない。
■友達の間には、いいうそも必要。
■本当の友達は、長い間会わなくても関係は壊れない。
■相手のことを考えた行動は、状況によって異なる。
これらのことに子どもはきっと気づくはずです。
それを決められた言葉でまとめるのではなく、子ども独特の表現でまとめられると、授業が面白くなりそうですね!
はい、ということで今日は
『6年「ロレンゾの友達」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。