こんにちは。
今日は『3年「たっきゅうは四人まで」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
友情、信頼
道徳のど真ん中の内容項目ですね。
いざ授業をしようとすると、
「友達と仲良くするのがいいこと」
「信頼しあうことは大切」など
月並みなまとめしかたどりつかないことが多いですよね。
でもそんなこと、
子どもたちは知っています。
知っていることを45分かけて確認するなんて、
なんとつまならないことか・・・・
せっかくなので、今日の記事を読んで、
グッと深まる道徳をしましょう!
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
B 主として人との関わりに関すること
「友情、信頼」
3・4年の目標・・・・友達と互いに理解し、信頼し、助け合うこと。
3年生「たっきゅうは四人まで」(日本文教出版)
しゅんは、ひろし、さとし、あきらを卓球に誘った。
スポーツセンターの卓球コーナーは人気でなかなか予約が取れない。
しゅんはお父さんと並んで、ようやく予約がとれた。
すると、とおるが「仲間に入れてくれないか。」と言ってきた。
卓球クラブに入っているとおるとは、特に仲が良かったわけではない。
3人の顔をしゅんは見た後、「ダブルスをやるから4人までと決まっているんだ。」と断った。とおるは何も言わず、下を向いたまま離れていった。
しゅんは、とおるが当番でもないのに牛乳運びを手伝ってくれたことを思い出した。
その日の帰り、しゅんはとおるに「ごめんね、きみも来ていいよ。」と言ったが、
「卓球は4人までなんだろう。」と言ってとおるは帰ってしまった。
その後4人で卓球をしたが、あまり楽しくなかった。3人も同じことを考えていたようで、次の日曜日にとおるを誘って5人で遊ぼということになった。
次の日、四人は早めに登校し、校門でとおるが来るのをどきどきしながら待った。
2 内容項目と教材
①教科書が向かわせたい先は本当に正しいのか
教科書の話は、お話として完成されているので、
そのまま読んでいくと一定のまとめに向かっていくようになっています。
今回の「たっきゅうは四人まで」の教材も、そのまま授業をするなら、
・仲がいい人もそうでない人も、みんなで仲良くするべき。
・仲間はずれをしてはいけない。
このようなまとめが出てきそうです。
しかし、本当にこのまとめでいいのでしょうか?
そもそもこんなことは、道徳の授業で習わなくても知っています。
また、いつもどんなときも、「みんな平等に」接して、遊ぶことは、本当に正しいのでしょうか。
大人のわたしでも、気の合う人と1秒でも長く一緒に過ごしたいとおもいますよ。
この感情はまちがいなのでしょうか?
子どもだから、別け隔てなく人と接する必要があるのでしょうか。
わたしはそうは思いません。
道徳でまとめられる「みんなで仲良くしよう」は、ただの看板であり、子どもの生活とは乖離した言葉です。
「みんなで仲良くしよう」は知っていることだし、『知っているけどできない』ことの方が多いのです。
それならば、仲良くすることの大切さを議論するよりも、
「(仲良くしなければならないことを)知っているのになぜ仲良くできないか」
を議論するほうが、よっぽど有意義ではないでしょうか。
②しゅんと、しゅん以外で考える
とおるを断ったしゅんは、牛乳運びを手伝ってくれたことを思い出します。
その恩義を思い出したことと、とおるのさみしそうな様子から、
自分のした行動が間違っていたのではないかと気付き、とおるに謝ります。
では、他の3人はどうでしょうか。
ひろし、さとし、あきらの立場で考えてみます。
3人の区別はほとんど記述がないので、3人をまとまりとして考えます。
そもそも3人は、予約を取ってくれたしゅんに誘われた立場です。
卓球をする場を確保する努力もしていなければ、誘うこともしていません。
さらに、とおると3人の関係も書かれていないので、しゅんほどはつながりがないように思います。
3人はとおるが仲間に入ることをどう思っていたのでしょうか?
もし、とおるが入っていいとちょっとでも思っているのなら、なぜしゅんが断ったときに止めなかったのでしょうか。
「みんなでやればいいだろう。」としゅんを制するのが、本当の友達ではないのでしょうか。
この3人のとおるへの気持ち、ぜひ子どもと考えてみたいですね。
③論点は、相手の気持ちを察すること
仲良くすることを理想として押し付けてはいけない、と上述しました。
では、授業の核はなにか。
それは、相手の気持ちを察することです。
シンプルに「相手の気持ちを考える」でも構いません。
断られてがっかりしたとおるを見て、しゅんは、
・この前助けてもらったのにな。
・卓球が好きだから、やりたかっただろうな。
これは全て、相手の気持ちを考えて想像しています。
②自分の感情が動き、
③自分の行動を省みて、
④もう一度誘うという行動を起こしたのです。
だから、4人は「とおるを誘わなかったこと」を後悔して、
謝ろうという結論になった。
「友情、信頼」の内容項目では大切なのです。
相手のことを考えられる人が、友達を大切にできる人
というまとめにもっていけるようにしましょう。
3 導入
「友情、信頼」の内容項目は、日本文教出版では重点項目になっています。
今回の教材は2時間中の2時目。
導入では前回の学習を想起するとよいでしょう。
道徳のこれまでの学習が積み上がっていくからです。
もしくは、次のような導入をします。
心を( )
と黒板に書き、「この中には、どんな言葉が入るでしょうか?」
と聞きます。
☆心を通わせる
☆心をそろえる
など子どもが言ってきたら、
「それってどういうこと?」と聞きます。
子どもの発言の上に、さらに問いを作りましょう。
4 発問
・しゅんは、とおるを誘って5人でどうやって卓球をするつもりだったのだろうか。
・「卓球は4人まで」は正しいことだから、しゅんがとおるを断ったことは、正しいことではないか。
・しゅん(とお父さん)が予約を取ったのだから、しゅんが行く人を選ぶのは悪いことではないのではないか。
・校門で会ったとおるが、4人を許してくれなかったら、謝っても意味がないのだろうか。
・とおるは断られて怒るのは、自分勝手ではないか。
・この話で喜んでいるのはだれだろう。
・4人ととおるは仲良くなれるのだろうか。
・仲のいい4人で遊んだときと、特に仲のいいわけではないとおるを入れた5人で遊んだとき、心はどうちがうだろうか。
・卓球のルールより大切な友達のルールはなんだろう。
5 まとめ
相手のことを考えられる(察することができる)人が、友達を大切にできる人
このポイントを押さえたまとめができるといいですね!
はい、ということで今日は
『3年「たっきゅうは四人まで」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。
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