4年

4年「いのりの手」【友情、信頼】の指導案はこうする!

友情、信頼
「神様一生のお願いです」の写真[モデル:あんじゅ]

こんにちは。
今日は『4年「いのりの手」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

今日解説する「いのりの手」は、
いわゆる定番教材です。

定番教材は、長年教科書に掲載され続けていて、
たくさんの実践がある教材です。

なぜ定番教材は定番なのか。
それは、道徳的価値が多い、もしくは深いものが多いからです。

考えれば考えるほど、まるでスルメのように味が出てきます。
定番教材だからといって恐れることはありません。

あなただけの視点を見つけて、教材を研究していきましょう!
今日の記事は、自分だけの視点を見つけるヒントになりますよ。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

B 主として人との関わりに関すること
「友情、信頼」
3・4年の目標・・・・友達と互いに理解し、信頼し、助け合うこと。

4年生「いのりの手」(日本文教出版)

あらすじ
今から500年ほど前のドイツでの話。
見習い画家のデューラーとハンスがいました。
2人は版画をほる親方のもとで働いていましたが、なかなか絵の勉強ができません。
ハンスが言いました。
「いい考えがある。一人が働いて、もう一人が絵の勉強をするんだ。お金を稼いでもうひとりのために助けよう。相手の勉強が終わったら今度は交代して、もう一人が勉強するんだ。」
ハンスは「デューラー、先に君が勉強しろよ。君はぼくよりちょっぴりうまいからさ。きっと早く進むよ。」
デューラーは「ありがとう。すまない。」と言った。
何年か経って、デューラーの勉強が終わりました。
再開したハンスの手は、鉄工所で長年働いたため、すっかり節くれだち、ごつごつとこわばっていたのです。
「おれの手なんか心配するな。もう絵筆はもてんが、ハンマーを持たせたら天下一品だぞ。」とデューラーをなぐさめました。
「そうだ、君のその手をかかせてくれ。ぼくを絵かきにしてくれた君のその手を。」
その絵は今も「いのる手」と呼ばれています。
この人が、後にいくつものすぐれた絵を描いたアルブレヒト・デューラーなのです。
man raising arms between greenfield

2 内容項目と教材

定番教材でやってはいけない活動

定番教材は、多くの切り口があります。
その分、「それは本当に道徳的価値に迫っている活動なのか。」と立ち止まって考えたいものもあります。
まずは、【やってはいけない活動】を2つ紹介します。

【やってはいけない活動①】

 望ましい行動を考える

これは、道徳でもっともよくある活動です。
「その活動はいけない」と意識していても、
行動について考えていることがあるから、要注意です。

例えば、「デューラーがどんな行動をすれば、ハンスが喜んだだろう。」と発問をします。
それに対して子どもたちは答えます。

「この後、ハンスに勉強をしてもらえばいい。」
「お礼にお金を払えばいい。」

はい、アウトです。

まず、そもそも発問がよくないです。
「ハンスを喜ばせるための行動」を探す発問です。
そんな友達のお膳立てをするようなことを強要し、そのアイディアを募集する。

子どもたちに「自分を犠牲にして友達を喜ばせましょう。」と言っているようなものです。

それに、子どもたちはアイディアを発表しますが、
「○○の時は●●すればいい」という方法論は、道徳的価値と関係ありません。

むしろ、全く意味がありません。

例えば、登山を思い浮かべてください。

「熊に遭遇したら死んだふりをすればいい」という通説があります。
実際に熊に遭遇したら、逃げられる道もあるし、助けを呼ぶスマホももっているし、隠れる場所もあるのに、「死んだふりをすればいい」という方法しか知らなかったら、目の前で倒れて死んだふりをするしかありません。

そんな命知らずなこと、本当にしますか?

方法論を道徳で語ることは全く無意味です。
顔で笑って心で泣くなんてことはよくあります。
笑顔で人を騙す詐欺師もいます。

ハンスを喜ばすデューラーの行動を考えることは、
時間のムダなので、絶対にしないようにしましょう。

【やってはいけない活動②】

 教材を区切って提示する

これもよくある活動です。
活動というか、教材提示の工夫ですね。

「いのりの手」では、デューラーとハンスが再開する直前のところで区切り、
「このあとデューラーとハンスは、それぞれ何と言ったでしょう。」と聞くのがよくある実践です。

はっきり言います。
この活動は全く意味がありません。

なぜか。
区切って先を予想することは、道徳的価値に迫っているようで、建前を引き出すための策でしかないからです。

自分を犠牲にして友達に勉強をさせたハンス。
その思いを十分知っているデューラー。

「再開したらうんとお礼を言うだろう。」
「涙を流して感謝するだろう。」
こんなこと、子どもなら誰しも予想がつきます。

だって、教科書はそんな流れが一般的だから。
それに道徳だから、いい話にならないとおかしいから。

そんな風に思って「感謝すると思う。」と言うわけです。

それは、デューラーやハンスの気持ちになって発した言葉ではなく、
教科書の流れを読み取った推測です。

「デューラーは、ハンスの思いも知っているけど、自分が絵描きになれた自信のほうが大きいので、ハンスのことはもうどうでもいいと思う。」なんて発言をする勇気ある子はいないでしょう。
「空気を読まない子」とみんなから思われるのはいやですからね。

また、どうしても続きの教材を提示した時に
「(予想が)当たった!」
「外れた!」
という思考になります。

その思考は、道徳で必要でしょうか?

当たったか外れたかはどうでもよくて、
なぜその行為をしたのか、心の奥の奥を考えることが大切なのです。

「それでも私は区切ります」と言う人がいます。
それを止めることはしませんが、最後にもう1つお伝えします。

区切ると、「どうなったでしょう。」と予想させる発問や
それに対する意見がたくさん出てくるので、授業は活発になったように見えます。

つまり、「いい授業を作ることができている錯覚」になります。

でもそれは、上述したとおり、道徳的価値の本質的な部分には
向かっていないことが往々にしてあります。

子どもがたくさん発表する授業がいい授業ではありません。
子どもがたくさん思考する授業がいい授業なのです。

話がだいぶそれました。
ということで、【やってはいけない活動】を2つ紹介しました。

man standing near altar praying

内容項目の理解

では、内容項目について考えます。

「友情、信頼」
この内容項目は、順番に意味があります。

友情が先にありますね。

広辞苑で意味を調べると、

友情・・・友達の間の情愛
信頼・・・信じて頼りにすること

とあります。

例えばあなたは,道を歩いている人にいきなり住所などの個人情報を伝えることはできますか?

きっとほとんどの人が「できない」と答えるでしょう。
「何で教えないといけないの?」
「どこにばらされるか分からない。」
「そもそも,だれ?」

それらは「信頼」という基礎が、人間関係の中にできていないからです。
つまり友情がないと、信頼もできないのです。

では「友情」とは何でしょう。

広辞苑の意味の通り、「友達との情愛」略して「友情」なのです。
では、情愛とはなんでしょうか。
再び広辞苑で調べると、

情愛・・・情け、いつくしみ、愛情

とあります。

・友達が困っているから助る
・友達の気持ちに共感する
・友達に対して好感をもつ

これらのことを数十回、数百回くり返して、「友情」と呼べる関係ができあがるのです。

その過程の中では、自己開示が必ず必要です。
自分のことをさらけ出したり、本音を言い合ったりして、関係が深まっていくのです。

そうしてできた「友情」があるから、初めて次の「信頼」が成り立つのです。

教材研究の場面では、

①「友情」か「信頼」か、どちらに重きを置いているのか考える。
②例えば「友情」なら、2人はなぜ友達と呼べるのか、本当の友達と呼べるのかといった発問を考える。

この流れで、本質に向かう授業ができるのです。

友情と信頼のちがいは、授業では扱わなくていいですが、授業者はこれについて自分なりの考えをもっておきましょう。
「いのりの手」は、『友情』に重きを置いている教材です。

情愛の意味で、「同情、いつくしみ」とありました。
友達に対して、少なからず同情の念はあるということです。

デューラーは、絵の勉強をしている間、かたときもハンスのことを忘れませんでした。
デューラーは、なんのために勉強をしていたのでしょうか?

・自分が立派な画家になるため。
・早く絵かきになって、ハンスに勉強してもらうため。
・ハンスといっしょに絵描きになるため。

また、ハンスの心について考える活動も、有効ですね。

友情で大切なことは、相手意識です。
相手は今、どんな思いをしているのか、自分の行動でどんな思いになるのか。
相手の気持ちを想像できることが、真の友情に大切な要素なのです。

また、教材をさらっと流してしまうと「相手のことを思って行動することが大切」という結論になってしまいますが、果たして本当にそれでいいのでしょうか?

ハンスが自分の長い時間を犠牲にして、デューラーに勉強をさせてくれてうれしかったのは当然でしょう。
しかし、ハンスは「もう絵筆は持てない」と言っていることに対して、素直に「うれしい」と感じるでしょうか。

「ハンスに勉強してほしくて、一生懸命勉強したのに、ハンスが画家にならなかったら、ぼくの努力はムダになったじゃないか。」とは思っていないのでしょうか。

これは懐疑的な見方ではありますが、教材の裏側まで推測すると、考えられることです。
そしてそれを考えることが、実生活でも生きるほどの深くて細かいポイントなのです。

さすが定番教材、多くの観点がありますね。

ここまで説明したことはたくさんありますが、
全てを45分で触れようとは思わないでください。
私も全てを触れることは不可能です。

どれか、「これだ」と思うポイントを1つか2つに絞って、授業でチャレンジしてみましょう。

定番教材のよさを実感できるはずです。

person wearing pink crew-neck shirt with hand clasped together

3 導入

T:教師 C:子ども

T:この絵を見てどう思いますか?
(「いのる手」の絵を見せる)
C:ゴツゴツしている。
C:なにか祈っている。

T:今日は、この絵を描いたデューラーさんと、この絵のモデルのハンスさんの友情について考えます。

4 発問

・ハンスが画家にならなかったら、デューラーの努力はムダになってしまうのではないか。
・デューラーは幸せだろうか。
・ハンスは幸せだろうか。

・ハンスは、「君が先に勉強しろよ」と言ったときから、画家をあきらめていたのではないか。
・デューラーの「勉強が終わったとき」とはどんなときだろう。
・ハンスの手は、何に対して祈っているのだろう。

・もし、ハンスが先に勉強していたらハンスが立派な画家になっていただろうか。
・鉄工所で働くハンスは、どんな思いを支えに頑張ったのだろう。
・2人は、あきらめたくなることはなかったのだろうか。

・あきらめたくなったとき、2人の心を支えたのは、どんな心だろう。
・デューラーとハンスは「本当の友達」と言えるだろうか。

5 まとめ

本当の友達とは、

・つらいときこそ相手のことを思って行動できる。
・心がつながっている。
・相手のことを想う時間が長い。

こんなポイントを押さえて、まとめができるといいですね!

はい、ということで今日は
『4年「いのりの手」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!

また明日もお楽しみに。

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例 : はしの上のおおかみ

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