6年

6年生『星野君の2塁打』の指導案はこうする!

こんにちは。Kishです。
今日は道徳の教材について詳しく書きます。
多くの教科書に掲載されている
『星野君の2塁打』
この教材についてお話し、
あなたのこれまでの授業を変える
道徳イノベーションを起こします!

この『星野君の2塁打』は、
「特別の教科 道徳」となった
平成30年に教科書に新しく掲載され、
その内容が大きく話題となり
メディアにも取り上げられました。
いわゆる「力のある教材」ですので、
知っていたり、
授業をして「難しい」と感じたりしている先生も
多いことでしょう。

目次です。
・内容項目は鳥の目とアリの目で考える
・発問例
・板書は「四項対立型」
・教材を「多面的」に見て、内容項目を「多角的」に見る

では本題です。

もくじ
  1. 内容項目は鳥の目とアリの目で考える
  2. 発問例
  3. 板書は「四項対立型」
  4. 教材を「多面的」に見て、内容項目を「多角的」に見る

内容項目は鳥の目とアリの目で考える

『星野君の2塁打』の内容項目は
「よりよい学校生活、集団生活の充実」です。
この内容項目は、
鳥の目とアリの目で考えましょう。
つまり、
鳥の目のように集団の全体を見る視点と、
アリの目のように集団の一員としての自分の視点、
この両方で考えることが、
多面的・多角的な見方につながります。

よい集団とは何か。
よい集団の一員として、
どんな姿であるべきか。
視点を何度も何度も切り替えながら、
考えを深めていきましょう。
切り替えることで、
スパイラルのように深まっていきます。

発問例

次に、発問例を挙げます。

まずは子どもの思考を狭める
「場面を区切る発問」です。

【場面を区切った発問】
・星野くんは、バッターボックスに入る前、どんな気持ちだったのだろう。
・監督のサインを見た時、どんな気持ちだったのだろう。
・サインを破って打った時、星野君はどんな気持ちだったのだろう。
・監督に怒られた時、星野君はどんな気持ちだったのだろう。
・監督に出場停止を言われた時、どんな気持ちだったのだろう。

これらは、子どもの思考を狭める発問です。

それぞれの質問で、異なる視点から意見を言えますか?
ある程度答えの幅が限定される発問になっていませんか?
これらの発問は結局のところ、
子ども達は同じようなことを言うだけの
言葉遊び的時間になってしまい、道徳性が深まりません。
考えるのは簡単ですが、
その分、浅い意見しか期待できないでしょう。

では、次に、
教材全体を捉えて、
多面的・多角的に考える発問を紹介します。

【多面的・多角的に考える発問】
・星野くんはこのチームに必要だろうか。
・どんな方法でも勝てばいいのではないか。
・監督はどんなチームを目指しているのだろう。
・このチームはいいチームだろうか?
・次の試合は、このチームはどんな雰囲気だろうか。
・次の試合は、このチームは勝つだろうか。
・星野君が次の試合で出たら、チームメイトはどんな気持だろう。
・星野君がサインを守って負けた時と、破って勝った時、みんなの心はどうちがう?
・星野君がサインを守って負けた時と、破って勝った時、星野くんの心はどうちがう?
・勝ちたい気持ちはみんな同じなのか?
・勝利とチームワーク、どちらが大切なのだろう。
・監督の判断は正しいだろうか?
・みんな星野君のようにサインを守らないチームは、強いだろうか?

いかがでしょうか。
それぞれ、考える価値のある、
深い発問です。
大人でも難しい発問ですよね。
「子どもには無理だ」と思っていますか?
全て、私が6年生に投げかけたものです。
全てに、立派な考えを言いましたよ。
「無理だろう」は、
頭の固くなった大人のエゴで、
実は
頭の柔らかい子どもは、
道徳性を深める素地は充分あるのです。

しかし、とはいってもすぐに考えを言えません。
子どもにとっても難しいものです。
1つ発問をしたら、
シーンとなります。
必ずシーンとなります。
それは、「答えられないシーン」のではなく
「考えているシーン」なのです。
その時に聴いてみてください。
「時間をかけて考えたい人?」
きっと多くの手が挙がるでしょう。

そこで、
「(ノートに)書いてみましょう。」
「友達と話してみましょう。」
ということで、
書くことや話し合いが
有意義なものになるのです。

板書は「四項対立型」

黒板の使い方は、フリースタイルです。
縦書きで川流しが悪いわけではないですが、
子どもの思考を広げる観点から言えば、
そうでない場合が有効なことが多いです。
多くの板書の型がありますが、
『星野君の2塁打』は「四項対立型」がいいでしょう。

図のとおりです。

次の4つのパターンで考えます。
①サインを守って、試合に勝った。
②サインを守って、試合に負けた。
③サインを守らず、試合に勝った。
④サインを守らず、試合に負けた。

矢印の色を4色にして
(または番号をつけて)
「どの矢印が一番いいかな?」
「1位~4位まで順位をつけましょう。」
等と発問することができますね。
もちろん、先ほど例示した発問をしながら、
この板書にまとめていく方法でもOKです。

発問と板書は必ずしもリンクしていなくてもいいのです。
なぜなら、板書はあくまで「メモ」であり、
子ども達の気付きをまとめ、
新たな気付きを生みだす「覚え書き」だからです。
立派な板書を完成させることが目的ではありません。
それは、方法が目的になってしまっています。
子ども達が、話し合いや板書のメモを見て、
新たな価値を生み出す。
それが、道徳の授業なのです。

図に戻りましょう。
どれが一番いい矢印だと思いますか。
①は文句なしでしょう。
しかし、子ども達は必ずしもそうとは考えません。
それぞれの矢印に、よさがあると言います。
私の学級では、
①②③④全て、1位にした子がそれぞれいました。
紹介しますね。

①みんなで監督の指示を守って勝った。
理想的な勝ち方で、結束力が高まったと思うから。
きっと次の試合もいい雰囲気で戦えると思う。

②負けたら、みんなで話し合えるから。
団結していると思うし、負けた原因を話し合うことで、
またいいチームになれると思うから。

③監督の指示は大事だけど、自分で判断して動くことも大切。
破っていいわけではないけど、勝てればいいと思う。

④サインを守らないと、結果が出ないことが明らかになるので、
みんなで話し合う機会がもてる。それに、みんな本音で話せるので、
本音で話せるのはいいチームだと思う。

いかがでしょう。
③の理由はやや勝利至上主義ですが、
①②④は、試合後の未来を見て語っていることが分かります。
勝った、負けたの結果だけでなく、
その先を子ども達は見ているのですね。

また、「1位~4位まで順位をつけてみましょう」
と聞くと、また考えの幅が広がります。
1位は4パターンあると言いましたが、
2位も、意見が分かれます。
②と③だったら、どちらの方が価値があると思いますか?
サインは守ったけど負け、
サインは守らなかったけど勝ち、
日本人ならなんとなく②を選びそうですが、
子どもたちに聞いてみると真っ二つになります。
意外ですよね。
それが、道徳の面白いところです。
ここからは説明は省きます。
ぜひ、先生の学級で実践してみてくださいね。
子ども達の意見を聞いていると、
とても面白いですよ。

さて、このように、
比較できるように板書することで
見えてくるものがあります。
教科書の「サインを守らずに試合に勝ったこと」の
一面だけしか見ずに議論していても
なかなか深まりません。
選択肢を増やして、比較することで、
その行為の価値を見つけやすくなるのです。
無理矢理にでも比較の形にする
大切なポイントです。
覚えておいてくださいね。

前述したような発問をすることで、
子ども達は教科書に書かれていない
道徳的価値に気付くことができます。
それが、「多面的・多角的に見る」ということなのです。
教科書を読むだけでは気付かない、
子どもの読みを越える発問や問い返しをしていきましょう。

教材を「多面的」に見て、内容項目を「多角的」に見る

道徳は教科になり、「特別の教科 道徳」となりました。
新学習指導要領では、「多面的・多角的な見方」が大切となります。
多面的・多角的な見方について詳しく知りたい方は、
この記事を読んでください。

『星野君の2塁打』では、
発問をすることで、
教材を「多面的」に見ることができます。
そして、多面的な見方から見えた考えを
友達と突き合わせることで、考えの幅が広がります。
その議論を重ねることで、
内容項目の「よりよい学校生活、集団生活の充実」を
多角的に見ることができるのです。

さて、この授業をすると、
どんな考えが出ると思いますか?
一例として書きますが、
この通りになるとは限りません。

いえ、むしろなるはずがないでしょう。
それは、先生と子ども達が違うのですから、当たり前です。
どんな授業がよいとか悪いとかではなく、
先生と子どもで、唯一無二の授業を作ってください。
それが何より、尊いのです。

ではその前提を踏まえ、
イメージをもってもらうために、
授業の流れの例をお話しします。

先:先生 子:子ども

先:星野くんはこのチームに必要だと思いますか?
子:必要だと思う。
先:どうして?
子:サインは守らなかったけど、結局勝つことができたから。
子:打つ力はあるから、チームのために必要だと思う。
先:では、みんながサインを守らなかったら、どうなるだろう?
子:監督がいる意味がない。
子:チームとは言えないと思う。
先:なるほど。じゃあ星野君はチームにはいらないということですね?
子:うーん。・・・・
先:サインを守って勝った時と、サインを守らずに勝った時、心はどう違うかな?
子:守って勝ったら、みんなで喜べる。
子:守らずに買ったら、喜んでいるのは星野君と一部の人。
先:喜んでいないのはだれ?
子:監督と、真面目にサインを守った人。
先:なるほど。チームのルールを守る事は、みんなで喜ぶことにつながるんですね。
負けたときはどうかな?
子:勝った時と同じで、みんなで悲しめない。
先:じゃあいいチームとは?
子:みんなで嬉しい気持ちや悲しい気持ちを分かち合えること。
先:それを今日のまとめにしましょう!
(まとめ「いいチームは、いろいろな気持ちを分かち合える。」)

いかがでしょうか。
これは考える時間や脱線も省いていますので、
こんな台本のようなすっきりしたやりとりにはなりませんが、
大まかな流れはこの通りです。
たまたま、「いい集団とは、様々な感情を分かち合える、深い絆がある 」という
流れになりましたが、
他にも内容項目を
多面的・多角的に見たまとめならよいでしょう。
大切なポイントは、
子どもの言葉を使う
ということです。

先生がかっこつけて、大人の言葉でまとめると
子どもは興ざめです。
無理に大人の言葉に変換しなくてもいいです。
子どもの言葉は純粋さの塊です。
子どもの言葉を紡いで、授業を作り上げていきましょう。

私は、「特別の教科 道徳」の授業のあり方は
変わるべきだと考えます。
これまでの場面ごとに区切る授業から、
多面的・多角的に考えられる授業へと転換すべきです。
時代が多様性を求めているのですから、
道徳も時代に合わせて変わるべきです。
令和の教師は、令和道徳をしましょう。
時代に合わせて変化する人が、
時代に淘汰されずに生き残る人です。

ということで、「6年生『星野君の2塁打』の指導案はこうする!」
このテーマでお話ししました。
また次回をお楽しみに!
分析・解説してほしい教材があれば、
リクエストしてくださいね!