1年

1年生『はしの上のおおかみ』の指導案はこうする!

親切、思いやり

こんにちは。Kishです。
今日は道徳の教材について詳しく書きます。
多くの教科書に掲載されている
『はしの上のおおかみ』
この教材についてお話し、
あなたのこれまでの授業を変える
道徳イノベーションを起こします!

『はしの上のおおかみ』は
全ての教科書会社で取り扱われている
定番教材です。
知っている人、実践された人、
研究授業でしっかりと研究した人もいることでしょう。
今日は、これまでにない新しい切り口で
『はしの上のおおかみ』を
解説していきます。

目次です。
・「親切、思いやり」は重点を決める
・発問例
・役割演技
・板書は「関係整理型」
・教材を「多面的」に見て,親切を「多角的」に見る

では本題です。

もくじ
  1. 「親切、思いやり」は重点を決める
  2. 発問例
  3. 役割演技
  4. 板書は「関係整理型」
  5. 教材を「多面的」に見て,内容項目を「多角的」に見る

「親切、思いやり」は重点を決める

『はしの上のおおかみ』の内容項目は
「親切、思いやり」です。
親切と思いやり、この2つの違いについては別な記事でお話ししていますので、
詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

簡単に言うと、
親切は行為、思いやりは心です。
親切な行動、とは言いますが
思いやりの行動とは言いません。
「思いやりのある」行動と言いますよね。
つまり思いやりは心です。

この内容項目は、
どちらか重点を決めて授業をしましょう。
つまり、
「親切」か「思いやり」か
重点はどちらなのか、教材から考える
ということです。

「親切、思いやり」の教材は
その両方を追究するようにはなっていません。
どちらかに軸足が必ず置かれています。
それをどちらなのか、考えましょうということです。
『はしの上のおおかみ』では、
「親切」に重点が置かれています。
ここでは,親切を重点として話を進めて行きます。

かといって、「思いやり」に重点を置いて
間違いと言うわけではありません。
「授業者が重点を決める」ことが大切なのです。

発問例

次に、発問例を挙げます。

まずは子どもの思考を狭める
「場面を区切る発問」です。

【場面を区切った発問】
・おおかみがうさぎにどなった時、どんな気持ちだっただろう。
・くまに会った時、おおかみはどんな気持ちだっただろう。
・くまに持ち上げられた時、おおかみはどんな気持ちだっただろう。
・うさぎに2回目に会った時、おおかみはどんな気持ちだっただろう。

これらは、子どもの思考を狭める発問です。
それぞれの質問で、異なる3つの視点から意見を言えますか?
ある程度答えの幅が限定される発問になっていませんか?
これらの発問は、
結局のところ、子ども達は同じようなことを言うだけの
言葉遊び的時間になり、道徳性が深まりません。
考えるのは簡単ですが、
その分、浅い意見しか期待できないでしょう。
場面を区切ると、考えやすくなり
発表はしやすいですが、
道徳性を深めることは難しくなります。

では、次に、
教材全体を捉えて、
多面的・多角的に考える発問を紹介します。

【多面的・多角的に考える発問】
・おおかみより、くまの方がえらいのではないか。
・なぜおおかみは、はしを通らせないようにしたのだろう。
・最初と最後の「えへん、えへん。」は、心は違うだろうか。
・くまは怒っていないのだろうか。
・うさぎは、行動が変わったおおかみをどう思うだろうか。
・おおかみのいいところはどこだろう。
・くまは、おおかみと比べて何がすごい?
・くまがあげたものは何だろう。
・おおかみがもらったものは何だろう。
・「一本橋」に名前をつけるとしたら、○○橋? そのわけは?
・おおかみは、うさぎに同じことをする必要はないのではないか。
・おおかみの親切は、橋の上以外に、どんなところで使えるだろうか。

いかがでしょうか。
それぞれ、考える価値のある、
深い発問です。
大人でも難しい発問ですよね。
「子どもには無理だ」と思っていますか?
私達の想像以上に、
子ども達はハイレベルな思考をできます。
「無理だろう」は、
頭の固くなった大人のエゴで、
実は
頭の柔らかい子どもは、
道徳性を深める素地は充分あるのです。
もっと厳しいことを言うと、
語彙力が未熟な中で最大限、
感じたことを伝えようとしている
子どもの発言に対して、
その真意を汲み取れない、
もしくは汲み取ろうとしない
大人の未熟さが原因なのです。
子どもは、
「先生が私の意見を
分かってくれないのがいけないんだ。」
なんて言うはずがありません。

しかし、子どもに敬意をもって、
教師も「一学習者」としての意識をもっていれば、
子どもの意見は全て尊いものと思えます。
ちょっと厳しいことを言いましたね。
話を戻しましょう。

しかし、子どもは考えることができる、
とはいってもすぐには発言できません。
子どもにとっても難しいものです。
1つ発問をしたら、
シーンとなります。
必ずシーンとなります。
それは、「答えられないシーン」のではなく
「考えているシーン」なのです。
その時に聴いてみてください。
「時間をかけて考えたい人?」
きっと多くの手が挙がるでしょう。
そこで、
「(ノートに)書いてみましょう。」
「友達と話してみましょう。」
ということで、
書くことや話し合いが
有意義なものになるのです。

役割演技

『はしの上のおおかみ』は、
役割演技が授業ではよく用いられます。
教師はくま、子どもはおおかみになり、
おおかみの気持ちを感じさせることがねらいです。
実際に動いて、気持ちを実感するという活動は
とても大切です。
注意点としては、
「役割演技が動作化しないようにする」
これだけです。
役割演技は、役になりきることで、
その気持ちを感じることがねらいです。
時にはアドリブもあるでしょう。
アドリブができるということは、
その役になりきっているということなのです。
動作化は違います。
ただ動きを真似るだけです。
話をなぞるだけで、ただ動作をつけて、
当たり前の気持ちを確認するだけでは、
道徳性を深める目的に向かっているとは言えません。
動作化にならないために、
くま役の教師も役になりきって
発問することが大切です。
役割演技については、また別な記事で解説予定です。

板書は「関係整理型」

黒板の使い方は、フリースタイルです。
縦書きで川流しが悪いわけではないですが、
子どもの思考を広げる観点では、
そうでない場合が有効なことが多いです。
多くの板書の型がありますが、
『はしの上のおおかみ』は関係整理型がいいでしょう。

図のとおりです。

このように、関係図を書くことで、
見えてくるものがあります。
おおかみの1回目と2回目の
うさぎに対する行為の違いは何か、
それを生む心の違いは何かを
考えやすくなります。
教科書に書かれていない
道徳的価値に気付くことができます。
それが、「多面的・多角的に見る」ということなのです。

また、1年生という発達段階から、
言葉で表現するよりは、
「どんな顔をしていると思う?」
と表情を書くようにするといいでしょう。
表情で考えの根拠を作り、
それを元に発表することで、
子どもは考えを言いやすくなります。
この図では、おおかみの1回目の表情を空けています。
どんな顔になると思いますか?
また、なぜ2回目は笑顔になったんですか?
他に笑顔はありますか?
なんだか気付いたら言いたくなってきませんか?
子どもに聞いてみたくなってきませんか?
それが、道徳の面白さなのです。

教材を「多面的」に見て,内容項目を「多角的」に見る

道徳は教科になり、「特別の教科 道徳」となりました。
新学習指導要領では、「多面的・多角的な見方」が大切となります。
多面的・多角的な見方について詳しく知りたい方は、
この記事を読んでください。

『はしの上のおおかみ』では、
発問をすることで、
教材を「多面的」に見ることができます。
そして、多面的な見方から見えた考えを
友達と突き合わせることで、考えの幅が広がります。
その議論を重ねることで、
内容項目の「親切、思いやり」を
多角的に見ることができるのです。

さて、この授業をすると、
どんな考えが出ると思いますか?
一例として書きますが、
この通りになるとは限りません。
いえ、むしろなるはずがないでしょう。
それは、先生と子ども達が違うんですから。
どんな授業がよいとか悪いとかではなく、
先生と子どもで、唯一無二の授業を作ってください。
それが何より、尊いのです。

イメージをもってもらうために、
授業の流れの例をお話しします。

先:先生 子:子ども

先:最初と最後の「えへん、えへん。」は、一緒? 違う?
子:違う!
先:一緒だと思う人?
子:(手があまり挙がらない)
先:違うと思う人?
子:(手が多く挙がる)
先:どうして違うと思うの?
子:最初のはいばってるけど、2回目はいばってない。
先:どうしていばらくなったの?
子:くまさんに会ったから。
先:もう少し詳しく言える人?
子:くまさんに親切にされたから、おおかみはいばらなくなった。
先:いばる気持ちを、くまさんがとってくれたってこと?
子:うーん。
先:おおかみさんがくまさんにいばる気持ちをあげたってことですね。
子:なんだか違う気がする。
子:おおかみは気持ちをあげたんじゃなくてもらった。
先:え? どういうこと?
子:くまさんはおおかみさんに、親切な心をあげた。
先:なるほど、おおかみさんは親切な心をもらったんですね。
子:だから、その親切を、うさぎさんにもあげた。
先:あげたから、おおかみさんには、もうないってこと?
子:なくなってはいない。おすそわけ。
先:なるほど、あげるけど自分はなくならない。親切はおすそわけできるんですね。
(まとめ「親切はおすそわけできる。」)

いかがでしょうか。
これは考える時間や脱線も省いていますので、
こんな台本のようなすっきりしたやりとりにはなりませんが、
大まかな流れはこの通りです。
たまたま、「親切はおすそわけできる。」という
流れになりましたが、
他にも親切、思いやりを
多面的・多角的に見たまとめならよいでしょう。
大切なポイントは、
子どもの言葉を使うということです。
先生がかっこつけて、大人の言葉でまとめると
子どもは興ざめです。
無理に大人の言葉に変換しなくてもいいです。
子どもの言葉は純粋さの塊です。
子どもの言葉を紡いで、授業を作り上げていきましょう。

私は、「特別の教科 道徳」の授業のあり方は
変わるべきだと考えます。
これまでの場面ごとに区切る授業から、
多面的・多角的に考えられる授業へと転換すべきです。
時代が多様性を求めているのですから、
道徳も時代に合わせて変わるべきです。
令和の教師は、令和道徳をしましょう。
時代に合わせて変化する人が、
時代に淘汰されずに生き残る人です。

ということで、「1年生『はしの上のおおかみ』の指導案はこうする!」
このテーマでお話ししました。
また次回をお楽しみに!
分析・解説してほしい教材があれば、
リクエストしてくださいね!