6年

6年「杉原千畝」【公正、公平】の指導案はこうする!

公正、公平、社会正義

こんにちは。
今日は『6年「杉原千畝ー大勢の人の命を守った外交官ー」【公正、公平】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

今回の教材は、かなりボリュームがあります。

「公正、公平、社会正義」ですが、多くの内容項目が詰まっています。

この時期ならではの教材を充実したものにできるよう、この記事で考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「公正、公平、社会正義」
5・6年の目標・・・・
誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく、
公正、公平な態度で摂氏、正義の実現に努めること。

6年生「杉原千畝ー大勢の人の命を守った外交官ー」(日本文教出版)

あらすじ

杉原千畝は、外交官としてヨーロッパで活躍していた。

その頃、ドイツのヒトラーが周囲の国に攻め込み始めました。
また、ユダヤ人を差別するひどい行いをしていました。

ユダヤ人は日本を通って他の道に逃げるしか、助かる道はありませんでした。

その頃、千畝はリトアニアに領事館を開きました。

ユダヤ人にビザを発行して日本を通過させてくれと頼まれましたが、日本政府は許可を出す条件を厳しく設定していたため、千畝は許可を出せずにいました。

千畝は悩みました。しかし、「ここで許可を出さなければ、人として間違った行いをしたことに一生苦しむだろう。」と考え、独断でビザを発行し続けました。

千畝の発行したビザは「命のビザ」と呼ばれ、二千枚以上発行されました。
千畝は、後にイスラエルから、ユダヤ人の命を救った功績で、「ヤド・バシェム賞」という名誉ある賞を受賞しました。

2 内容項目と教材

今回の教材は、「公正、公平、社会正義」ですが、「国際理解」も同じくらい大事な価値として詰まっています。
また、千畝の悩みながらも自分の信念にそって行動する姿は、「希望と勇気、努力と強い意志」も入っていると言えます。
ユダヤ人のことを思って行動しているので、「親切、思いやり」もあると言えますね。
ビザ発行の条件を破ったのですから、「規則の尊重」もあります。

6年生の後半の教材ともなると、これぐらい道徳的価値の詰まった教材が連続して出てきます。

「えー! 難しい・・・。」と考えてしまいますが、大丈夫です。
授業者が全ての関係する内容項目を把握しておく必要はありません。

ある程度は予想しておいてもいいのですが、ほぼ間違いなく、子どもの思考の幅は、授業者の予想を超えてきます。

授業をしながら、子どもはこちらの予想しない道徳的価値に気づき、発言をしてきます。

それは、本来の道から外れた発言ではなく、これまでの20時間前後の道徳で培ってきた思考が生み出した「視点の広がり」の現れなのです。

全てを把握するのは難しいので、いい意味であきらめましょう。(笑)
それよりも、教師も一学習者として、子どもの発言を傾聴して、気づきに対して「なるほど!」と言える立場でありたいですね。

「とは言っても、ある程度は押さえておかないといけないでしょ・・・」
最低限、該当の内容項目について押さえはしておきましょう。

その観点で教材を見てみます。

杉原千畝は、ビザを発行し続けてユダヤ人を助けました。
しかし、そもそも、千畝には偏見・差別の心はなかったのでしょうか?
もし、千畝に差別の心が少しでもあったなら、それが原因でビザを二千枚しか発行できなかったのではないでしょうか?

「まさか、そんなことはない。」と思いますか?
そう思うなら、性善説で考える人ですね。

しかし、「もし差別をする心があったら」と性悪説で考えると、また授業が広がります。

また、千畝はユダヤ人の立場から見ると「命の恩人」ですし、神様のように見えるでしょう。
それは素晴らしい行いですし、まぎれもない事実です。

かたや、『日本政府』の立場から千畝を見てみるとどうでしょうか。

ビザを発行する条件が厳しくされていました。
それは、親交のあったドイツに従って、ユダヤ人を差別する意味も多少はあったでしょうが、他にも、ほぼ無条件に日本に外国の人がやってきて、混乱を防ぐため、という意味合いもあったでしょう。

つまり日本は日本なりに、理由があってビザの発行条件を決めていました。

しかし、千畝はそれを「無視」してビザを発行しました。

これは本当に正しいことなのでしょうか?

教材を表面だけなぞると、

混乱した時代に、海外で多くの命を助けた日本人がいる。

という結論になり、偉人を扱ったような気になる結論ですが、果たしてそれで子どもの学びはなにがあるのでしょうか?

偉人なら山ほどいるし、わざわざ千畝だけを45分取り上げて考える必要は、この結論になるなら、ありません。

そうではなく、「千畝の行動は、立場を変えるといいことにも見えるし、悪いことにも見える。」という考えから、

「正義」は、立場が変わると正義に見えなくなることもある

という段階まで考えを引き上げたいですね。

その上で、千畝の行動は本当に正しかったのかを議論したいです。

単に「素晴らしい行い」だけで終わらせず、千畝をいろいろな立場から見てみましょう。

・ユダヤ人から見た千畝。
・日本政府から見た千畝。
・イスラエル人から見た千畝。
・現代のわたしたちから見た千畝。
・家族から見た千畝。
・ヒトラーから見た千畝。

ヒトラーのユダヤ人迫害の一連の流れは、事前に学習しておくにはかなりボリュームがあるので、教材程度の理解で十分ですから、あまり深入りはしないようにしましょう。
アンネ・フランクの日記まで紹介すると、ヒトラー政権だけで数十時間の学習時間が必要です。

道徳は社会ではないので、千畝の心、そして千畝の周りの人の思いを考えるようにして、その軸をぶらさないように心がけましょう。

3 導入

T:教師 C:子ども

T:「杉原千畝」という日本人を知っていますか?
※有名なので、知っている子も数人いると考えられます。

C:知っている。
C:知らない。

T:ドイツが周りの国を侵略していたころ、差別を受けていたユダヤ人を助けた日本人です。
今日は、この杉原千畝の行動について、考えましょう。

※ざっくりと杉原千畝、時代背景について伝えましょう。
※写真も数枚出しても効果的ですね。しかし、深入りはしないようにしましょう。

4 発問

・杉原千畝のしたことは、本当に正しいのだろうか。
・日本政府は、杉原千畝の行動をどう思っているのだろうか。
・最初の1枚のビザを発行するとき、千畝はなにを思っていたのだろうか。

・千畝はきまりを守らずに勝手に行動して、自分勝手ではないのか。
・ユダヤ人が日本で悪いことをしたら、千畝の責任になるのではないのだろうか。
・ユダヤ人のなにに、千畝は心を動かされたのだろうか。

・千畝がしなくても、他の人がしていたかもしれないから、危ないことはしないほうがよかったのではないか。
・この話で「うれしい」のはだれだろう。
・千畝は、なぜ罰せられるのではなく「賞」をもらったのだろうか。

・人を助けるためなら、きまりは破ってもいいのだろうか。

5 まとめ

間違っても、まとめとして言葉にしたくないのは
・正しいことは勇気を出して言う
・みんな平等だとみんないい気持ち
です。

こんなことは子どもたちはすでに知っているし、知っているけどできないのです。
45分かけてこのまとめになるのであれば、道徳の授業はする意味がありません。

・知っているけどできない。なぜだろう?
・どんな心が自分の行動をできないようにしているのだろう?
というところから授業がスタートすると、深い部分まで到達できます。

まとめの言葉は、例えば、
・相手の立場に立って、何が正しいかを考えることが大切。
・「正しいこと」は、時と場合、そして立場によって変わる。
・「自分の考え」をもって判断することがいい。
などでしょうか。
こんな要素の言葉が子どもから出てきて、さらに子どもの言葉を使えるといいですね!

はい、ということで今日は
『6年「杉原千畝ー大勢の人の命を守った外交官ー」【公正、公平】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!

また明日もお楽しみに。

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