こんにちは。Kishです。
今日は「学校を飛行機養成所にしよう!」
このテーマでお話しします。
今回は外山滋比古さんの「思考の整理学」という本から
私が皆さんに有益だと思う話題を取り上げて紹介します。
今日の目次
・「思考の整理学」(外山滋比古)
・グライダー養成所になるな
・飛行機養成所への転換
・「考える」がキーポイント
では早速本題です。
「学校はオワコン」という言葉が,
ツイッター界隈で一時だけ話題となりました。
これからの情報が加速度的に増えていく社会で,
本当に学校はオワコンになっていくのでしょうか。
私はそうは思いません。
しかし,このままではいけないとも思っています。
私は教師には,以下の力が求められると考えています。
「現代社会に合わせて考えを変化させていくこと。」
ここからは、本の紹介とともに詳しくお話ししていきます。
「思考の整理学」とは
この本は,1986年出版の本です。
出版から34年も経ちますが、
現在も多くの人に愛され、読まれています。
題名の通り,思考を整理する方法について書かれています。
ベストセラーとなっており,愛読書にしている人も多くいます。
中日ドラゴンズに入団した大阪桐蔭の根尾選手も,
愛読書にしているそうです。
この本は,「思考とは何か」という哲学書的なものではなく,
「思考を活性化させるためにはどうすればよいか。」
ということを中心に書かれています。
ほとんどの章が参考になり,
私はこれまで20回以上読みました。
これからも増え続けると思います。
その中で特に,
教師という立場だからか頭に残っている
グライダー養成所になるな
「学校はグライダー養成所になってはいけない」
と主張する章があります。
グライダー養成所?
どういうことでしょうか。
グライダーとは、坂道を走って下り滑走して、空を飛びます。
厳密に言うと降りていきます。
グライダーは空を飛ぶことはできますが、
あくまでエンジンを積んでいないので
滑走の勢いと風の力で飛びます。
これを学校になぞらえて、
「学校は丁寧に教えたり、障壁を取り払ったりすることによって、
子どもに『私はできる』という自己肯定感を過度に与えている。
それは、エンジンを積んでいないが、
空を飛んでいる感覚を得られるグライダーそのもの。」
とこの本には書かれています。
子どもに自己肯定感を与えることは否定しません。
むしろ私たち教師は、子どもに自信をつけることが
1つの目標ともなっています。
しかし、実際の学校現場で
私が毎日勤務していて感じることですが、
子どもに対して丁寧になりすぎている気がします。
子どもが間違えないように、丁寧なワークシートを作って授業をする。
子どもが学習内容が分かりやすいように、教材を作る。
子どもが意欲をもてるよう、ノートや日記に長文のコメントを書く。
それらはもちろん大切ですが、
本当に子どものためになっているのか、
と聞かれたら、そうではない気がします。
分かりやすい授業は子どもにとっては、
耳障りがよく、理解をしやすいでしょう。
しかし、教科書から答えを探したり、
友達と話し合って、あーでもないこーでもないと
議論した末に結論を出したり、といった
苦労をせずに得た知識は、
子どもに定着するでしょうか。
それこそ、楽に「理解」という空に飛び立たせて
「自分は空を飛んでいる」かのように
「自分は理解できる」と錯覚させているだけはないでしょうか。
グライダー養成所になってはいけない。
筆者のこの主張は、
「バカ丁寧にすることは、本当に子どものためになっているのか考えよ。
時には苦労して知識を獲得したり、困った末にたどり着く結果も
子どものためになる。」
と、我々教師にメッセージを送っているのではないか。
私は読みながらそう感じました。
飛行機養成所への転換
では、グライダー養成所にならずに、どうすればいいのでしょうか。
その答えもこの本に書いています。
空を自力で飛べる。
つまりエンジンが付いていて空を飛べるものと言えば、
「飛行機」ですよね。
グライダー養成所の対照にあるものとして、
飛行機養成所と例を出しています。
「学校は飛行機養成所になるべき」
という主張。
飛行機にはエンジンが付いています。
学校では、このエンジンを子ども1人1人に
搭載するが求められるということです。
ここでいうエンジンとは、どういうことなのでしょうか。
先ほどグライダー養成所のところでもお話しましたが、
バカ丁寧になりすぎない、ということです。
時には子どもが困って立ち往生するでしょう。
時には友人関係で悩んで助けを求めてくるでしょう。
そんな時、すぐに教師として答えを出すことは、
子どもにとって力になりません。
なぜなら求めたら答えが出てくる、
「お答え自動販売機」しかも無料
になってしまっているからです。
タダですぐに答えが出てくるなら、
誰だって使いますよね。
つまり、子どもは何か困ったら
「先生に言えばいいや」という
あまりよろしくない感覚を身につけているかもしれないのです。
では具体的に、どうすればいいのでしょうか。
「考える」がキーポイント
キーポイントは「考える」です。
先生が「お答え自動販売機」になっていては、
子どもは考えません。
なんせボタンを押す感覚で答えがもらえるんですから。
教師は、困ったり悩んでいたりする子どもと向き合ったら、
「どうしたらいいと思う?」と相手の考えを聞きましょう。
「いやいや、悩みを相談しているのに、逆に聞いたらまずいでしょ!」と
思うあなたは、まだグライダー養成所の教師の考え方です。
悩みをもっている子は、答えをもっていないことも多いでしょう。
しかし、教師が「どうしたらいいと思う?」ということで、
アドバイスがもらえると思ってアウトサイドインの考え方だったものが、
自ら思考をし始めるインサイドアウトに変わるのです。
ややこしいのでもう一度言います。
「どうしたらいいと思う?」と聞くことで、
子どもは思考を始めます。
教師のアドバイスを聞く、外から内の矢印だったものが、
自分の悩みに対する答えを伝えるという、内から外の矢印になるのです。
これが、考えるということです。
すぐに答えを与えることは、
時間がかからないし、
教師にとっても子どもにとっても楽です。
しかし、その楽をした時間は、
一時の快楽であり、子どもはすぐに忘れます。
「考える」過程を経てたどり着いた結論は、
記憶に定着します。
苦労した分、記憶に残るのは自明のことでしょう。
あなたの人生を振り返ってみてください。
楽をして合格した試験(入試など)と、
苦労して合格した試験では、
どちらをよく覚えていますか?
圧倒的に後者であることは、間違いないはずです。
つまり、今回の記事を一言で表すと、
『グライダー養成所にならないためには、考える時間を増やす』
となります。
「思考の整理学」の表紙の絵は水が流れており、
下にあるブロックを模した文字の隙間に
染み入るように入っていっています。
この本を読むと、この表紙の意味が分かります。
これまで漠然としていた知識と知識の間を、
こうして思考法としてつなげればよいのか、
という感動を覚えるからです。
読んだら思考が変わります。
思考が変わると指導が変わります。
オススメの本です。
ぜひ読んでみてくださいね。
今回はここまで。
次回をお楽しみに!