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【授業スキル】『あいまい発言』は全員の問いにする!

あいまいな発言

こんにちは。
今日は、
【授業スキル】『あいまい発言』は全員の問いにする!
このテーマでお話しします。

道徳に限らず、授業をしていると、
子どもが『あいまい発言』をします。

言っている意図が読みにくかったり、
一瞬では理解できなかったり、
教師が「?」となってしまう発言のことを、
『あいまい発言』と呼んでいます。

結論を言うと、そんな『あいまい発言』は、
全員に「どういうことか、詳しく言える人?」と問い、
個人を責めずに全員の問いにするのです。

順に説明します。

私も以前、授業中に子どもが想定外の『あいまい発言』をして、
なんとかコメントを返そうとしますが、
意味がわからず、頭が真っ白になってしまった覚えがあります。

『あいまい発言』が出た時、あなたはどうしていますか?

きっと多くは次のパターンに当てはまるのではないでしょうか。

・発言した子に、もっと詳しく言うように促す。
・先生がなんとか解釈をして、「こういうことだね。」と納得させる。
・「また後で考えようね。」などとうまくごまかしてスルー。

覚えがありませんか?

・発言した子に、もっと詳しく言うように促す。
これは、子どもを追い詰めています。
子どもは、大人よりも語彙力がありません。
大人でもムズカシイ、「思考を言語化する」ことを、
授業中に先生に当てられるという緊張状態で、
とっさにできるはずがありません。
この時の追い詰められた子どもの緊張状態は、
「答えを追い求めよう」ではなく、
「うまいこと言って早く発表の時間を終わらせよう」
という精神状態になっています。
これでは、「授業が楽しい」とは到底思えませんよね。

・先生がなんとか解釈をして、「こういうことだね。」と納得させる。
これは、子どもの発言の意図と異なる可能性があります。
それに、子どもは大人の「それっぽい言葉」には
同意するしかできません。
「先生、それは言いたいことと違います。」なんて、
こんな時に言ってくる勇気のある子は、なかなかいないでしょう。

・「また後で考えようね。」などとうまくごまかしてスルー。
これは一番多いのではないでしょうか。
重要なことはわかっていても、授業者が発言の意図をくみきれず、
そして授業を進めることも頭にはあるので、
結局無視して次へ進めます。
子どもは、「私の発言はどうなったの?」と
もやもやした感覚をもったまま、その後の授業を受けることになるでしょう。
(これも、子どもは言わないでしょうが・・・)

 

授業を毎日、数時間していたら、
『あいまい発言』に出会うこともきっと多いでしょう。
そんな時、どうしたらいいのか。

全員の問いにする

これがいいでしょう。
「今、○○さんが言ったこと、もうちょっと詳しく言える人はいるかな?」
「○○くんが言ったこと、どういうことか分かる人?」

文字にすると、発表した子の発言の内容を、他の子へ当てこすりしているような、
嫌みのような感じに見えますが、決してそうではありません。

発表をした子は、自分の考えをなんとか言葉にできたのです。
それ自体が素晴らしいことであり、
その言葉が完璧で、誰にでも理解できるような文章であるに越したことはありませんが、
きっと思考したてホヤホヤの言葉は、大人でもそうですが、
聞いた人にとっては「?」でしょう。
大人でも言いませんか?
しゃべり始める前に、「うまくまとまっていないのですが・・・」と。
大人はいいですよね。このように保険がかけられるのですから。
子どもは、そんな術すら知らない子が多いでしょうから、
ある意味では裸の思考のまま、言語化を求められるのです。
「やっとなんとか言葉にできた」
「なんだか言葉にはしたけど、違う気がする」
という気持ちを、自分の発言に対してもっているところに、
先生が一言言います。

それってどういうことですか?
もっと詳しく言いましょう。

追い詰められて、思考停止になるのは、
当たり前だと思いませんか?

子どもの思考は宝物です。
ダイヤを扱うように、大切に扱いたいものです。

発表した子が、
「なんだかうまく言えなかった」と
感想をもったとします。
先生が、「○○さんの言ったこと、もうちょっと詳しく先生に教えてくれる人?」
と促して、友達が自分の発言内容を詳しく発表してくれます。
時には、「そうそう、それそれ!」と的確な表現で言い換えてくれることもあるし、
「うーん、そうじゃないんだよなあ。」と違和感を感じたら、
再び最初に発言した子が、「そうじゃなくて・・・」と発表します。

これは、議論が成立していて、活発になっている状態と言えるでしょう。

授業者がファシリテーターとなり、
子どもを追い詰めず、
全体の問いにすることで子ども同士の発言を
つなぐ役割を果たしているのです。

授業者は、子どもの発言を全て自分が取り込んで処理するのではなく、
「子ども集団に教えてもらう」というスタンスが必要なのです。
このスタンスは、子どもの話を聞くことが前提になります。
子どもは、話を聞いてくれる先生なら、
一生懸命発表するでしょう。

このようにして、
子どもは学習や話し合いを好きになっていくのです。

まずは子どもの発言に耳を傾け、
『あいまい発言』が出てきたら、全員の問いにするように心がけましょう!

 

はい、ということで今日は
【授業スキル】『あいまい発言』は全員の問いにする!
というテーマでお話ししました。

授業スキルを上げていきましょう!