こんにちは。
今日は『6年「最後のおくり物」【親切、思いやり】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
今日解説する教材は、いわゆる「定番教材」です。
定番教材は、これまで多くの実践がされてきており、
その実践を見るだけでも充分な教材研究になります。
しかし、どうせならその実践の上に立ち、
自分なりのエッセンスを入れたいですよね。
この記事で、そのヒントを見つけてください。
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
B 主として人との関わりに関すること
「親切、思いやり」
5・6年の目標・・・・
誰に対しても思いやりの心をもち、相手の立場に立って親切にすること。
6年生「最後のおくり物」(日本文教出版)
俳優になることが夢だったロベーヌは、毎日養成所の窓から練習の様子を見て、メモを取っていました。ロベーヌはお金がなかったのだ。
それを見た守衛のジョルジュさんが声をかけてきて、他の守衛にも話してくれるとのことだった。
それからしばらく経って、ロベーヌのアパートのドアの前に、お金と手紙が置いてあった。
「養成所の月謝代に使ってください。」
ジョルジュさんに相談すると、「借りていると思えばいいじゃないか。」と言われたので、ロベーヌは養成所に通い始めることにした。
しだいに実力を認められてきたころ、突然お金のおくり物は届かなくなった。
そんなある日、ジョルジュさんが家の前に来て、倒れていることに気付いた。ジョルジュさんはしばらくして、息を引き取った。
ジョルジュさんが持っていた手紙にはこう書いてあった。
『遅れていたお金をいれておきます。あなたの努力が実ることを願っています。』
ロベーヌは、手紙の文字が涙でにじんだ。
2 内容項目と教材
①順序が大切
「親切、思いやり」は簡単に言うと、
親切とは動作、思いやりは心のことです。
『親切な行為』とは言いますが、「思いやりな行為」とは言いませんよね。
逆に、『思いやりのある行為』とは言いますが、
「親切のある行為」とも言いませんよね。
内容項目の順序も大切です。
「思いやり、親切」ではなく、『親切、思いやり』です。
ここから、心は大切だけど、まずは心は伴ってなくてもいいから、動くことを大切にしなさい。
というメッセージを感じることができます。
②「行動」で教材を見る
このことから、「最後のおくり物」を行動で見てみましょう。
この教材の核は、ジョルジュがロベーヌに無償の愛を提供したことです。
しかも、ジョルジュはきつい仕事に変えて、体にムチを打ってお金を稼いでまで、
ロベーヌに愛を注ぎ続けました。
これがもし、「頑張るだよ。」という応援のみだったら、
ロベーヌの気持ちはどうだったでしょうか。
夜更けにロベーヌの家まで来て、「いい感じじゃないか。頑張るんだよ。」と言って帰るのです。
応援だけの時、ロベーヌの心はどうちがうでしょうか。
応援は応援でロベーヌの力になったことは間違いないでしょう。
しかし、お金を渡すことの方が、ロべーヌの人生がいい方向に進んでいったことはまちがいありません。
ここで注意したいのは、「お金を渡すこと」自体が素晴らしいのではなく、
お金を稼ぐためにジョルジュが、
・そのせいで体を壊してしまったこと。
・まるで自分のことのように、命をかけて応援してくれていたこと。
いざ人のために尽くす場面では、なかなか人のことを第一に考えることはできません。
その気持ちがロベーヌに全て伝わったから、ロベーヌは涙を流したのでしょう。
③ロベーヌの涙の意味
もう1つ考えたい視点です。
ロべーヌの涙の意味です。
これは、過去・現在・未来で考えてみましょう。
A 過去
ジョルジュが今まで自分のために仕事を増やし、
正体を隠してまで自分のことを応援してくれていた。
その事実を知ったことで、「なぜ今まで気づかなかったのだろう」という後悔の念が浮かんできたのです。
B 現在
自分のために無理をしたから、ジョルジュは亡くなってしまった。
大切な人を失った悲しみの気持ちからの涙です。
C 未来
ジョルジュは自分のことを精一杯応援してくれた。
こんなにも応援してくれる人がいるのだから、努力して夢を叶えよう、という誓いの涙です。
このように、時間で区切って考えると、思考が進みますね。
ロべーヌの涙の意味を考えるときは、過去・現在・未来で区切ってみましょう!
④気づきの抽象化
とてもいい話なので、深く考えたら満足してしまいますが、
それでは道徳的な学びは少ないです。
ロベーヌ・ジョルジュから、どんな「思いやり」の心を学ぶでしょうか。
抽象化して、日常生活に生かせる学びをまとめられるといいですね。
・たとえ人に気づかれなくても、きっと思いやりの心は伝わる。
・誰にも気づかれない思いやりもあるかもしれない。
・相手の幸せを思って行動することが、本当の思いやり。
これら全部でなくても、いくつかのポイントを押さえてまとめができるといいですね!
3 導入
T:教師 C:子ども
T:思いやりってどういうこと?
C:相手のことを思うこと
T:もう少し詳しく教えて。「相手のことを思う」ってどういうこと?
C:相手の様子を見る。
C:相手の心を考える。
T:なるほど! では今日は、「思いやり」についてさらに考えていきましょう。
4 発問
・ジョルジュは、直接ロベーヌに渡した方が、もっと喜んでもらえるのではないか。
・ロベーヌは養成所に通ったことを後悔しているだろうか。
・この後、ロベーヌは養成所に通い続けるだろうか。
・ロベーヌはジョルジュにお金をもらえなかったら、この先どうするつもりだったのだろう。
・なぜ、ジョルジュはロベーヌに、お金を置いたのは自分ではないと嘘をついたのだろう。
・ジョルジュは、ロベーヌに嘘をついているから、ひどい人ではないか。
・ジョルジュのどんな気持ちが、ロべーヌの心にひびいいたのだろうか。
・ジョルジュがロベーヌにあげたものはなんだろう。
・「最後のおくり物」はなんだろう。
・ロベーヌが俳優になれなかったら、ジョルジュの頑張りはむだだったのだろうか。
5 まとめ
・たとえ人に気づかれなくても、きっと思いやりの心は伝わる。
・誰にも気づかれない思いやりもあるかもしれない。
・相手の幸せを思って行動することが、本当の思いやり。
はい、ということで今日は
『6年「最後のおくり物」【親切、思いやり】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。
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