こんにちは。
今日は『2年「ドッジボール」【公正、公平、社会正義】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
公正と公平って、よく似た言葉ですよね。
ざっくりと同じ意味で捉えていて、違いなんて意識したことはない。
そんな人がほとんどでしょう。
公正、公平って平等ってこと。
つまりは差別をしてはいけないということ。
このあたりの理解で、日常生活は困りません。
しかし、これが道徳の授業をするという立場になったら、
もう少し深く理解しておかなければならないような気がします。
今日は、公正と公平の違いついて、考えてみましょう!
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
内容項目 C 主として集団や社会との関わりに関すること
「公正、公平、社会正義」
1・2年生の目標・・・自分の好き嫌いにとらわれないで接すること
2年生「ドッジボール」(日本文教出版)
ゆかさんの学級では、ドッジボールをすることになった。
なかよしでドッジボールがとくいなあい子さん、
ドッジボールがとくいじゃないななみさんと同じチームになった。
あい子さんは始まってすぐに当たってしまった。
「おしかったね。いつもならとれたのに。」とゆかさんは声をかけました。
終わりごろ、ななみさんがボールに当たってしまいました。
「ちゃんとにげてくれないと、負けちゃうよ。」
ゆかさんがそう言うと、ななみさんは下を向いてしまいました。
ゆかさんのチームの勝ちが決まったとき、
相手チームのまおさんがななみさんに声をかけました。
「ななみさんはおわりごろまで、ボールに当たらないように
いっしょうけんめいにげていたから、すごかったよ!」
ななみさんはえがおになりました。
ゆかさんは、「わたいも同じようにはげましのことばをかけた方がよかったのかな。」と思いました。
2 内容項目と教材
公正、公平とは
この内容項目は、いつも先生達を悩ませるところです。
前提として、公正と公平の違いについて、以下の例で説明をします。
3人とも同じ業務内容、同じ成果です。
仕事の報酬としてもらったのは、
3人とも同じ金額で500円でした。
これは、公正でしょうか? 公平でしょうか?
3人とも同じ金額なので、『公平』だということは自明です。
しかし、1時間で500円というのは、最低賃金を下回っているので、
適正な時給の価格とは到底言えません。
つまりこれは、公正ではないと言えます。
つまり、公平と公正は一致しない場面が、日常生活ではたくさんあるのです。
先ほどの例のように
①公平だけど公正じゃなかったり、
②その反対に公正だけど公平じゃなかったり、
(Aさん1000円、Bさん1500円、Cさん5000円)
③公平でも公正でもなかったり、
(Aさん100円、Bさん50円、Cさん0円)
など、公正と公平が同居しないことはよくあります。
まずはこのことを、予備知識として押えておきましょう。
公正、公平のちがいを意識して学習するのは、中学年以降で大丈夫です。
なぜなら、1・2年生の目標は
自分の好き嫌いにとらわれないで接すること
だからです。
人はだれしも好き嫌いがあるもの。
それを押えた上で、公正・公平にしなければならない場面では正しい行動をする。
そのために大切な心はなんだろうと考えることが大切です。
つまり、公正・公平のちがいは意識せず、
ざっくり「平等に接するために大切な心を考える」と
思っておけばいいですよ。
ゆかさんの行動のちがいを生む心
ゆかさんは、あい子さんとななみさんの2人に対して違う態度をとりました。
「ボールが当たった」という同じ事象であるにも関わらずです。
それぞれ考えてみましょう。
(1)ボールに当たったあい子さん
ゆかさんは、あい子さんと仲がよく、
ドッジボールが得意なことも知っています。
これまでにも、あい子さんがドッジボールで
活躍する姿を何度も見ているのでしょう。
そんなあい子さんがめずらしく(?)早々にボールに当たりました。
ゆかさんは、「おしかったね。いつもならとれたのに。」と言います。
これは、あい子さんのこれまでの姿を知っているからであり、
今回の出来事が珍しいことだと捉えているのでしょう。
(2)ボールに当たったななみさん
対して、ななみさんはボール運動が苦手。
それをゆかさんも知っています。
きっと、これまでに体育の授業や休み時間などで、
苦手そうな姿を見たのでしょう。
ボールに当たったななみさんを見て、「やっぱり当たった・・・」と思ったのでしょう。
苦手=当たって当たり前
という意識でななみさんを見ていたのです。
このように、ゆかさんは、これまでのイメージで2人を見ていることがわかります。
公平に2人を見ているとはとても言えません。
つまりゆかさんは、これまでの行動で相手の行動を予想や期待をしていたのです。
ゆかさんに足りない心とは?
では、ゆかさんにはどんな心が足りないのでしょうか。
それは、「今」を見る心です。
2人とも結果的にボールに当たってしまいましたが、
あい子さんは開始早々に当たってしまいました。
対してななみさんは、終盤に当たりました。
あい子さんは上手とはいえ、油断をしていたのかもしれないです。
ななみさんは、苦手ながらもチームに貢献しようと一生懸命逃げたのかもしれません。
そんな「今」の姿を見ずに、これまでのイメージだけで相手を見ているゆかさんだから、
心無い発言をななみさんにしてしまったのです。
相手チームのまおさんは、「今」を見ていたので、
ななみさんのよいところを素直に認めることができたのです。
このことから、公正・公平な心をもつために大事なことは、「今」を見つめるということが言えます。
3 導入
T:教師 C:子ども
T:ドッジボールは好きですか?
C:好き
C:ちょっと苦手
T:得意な人も、苦手な人も、ボールに当たることはありますよね。
友達が当たったら、どんな声をかけますか?
C:おしかったね!
C:どんまい!
T:なるほど。今日は、ドッジボールで当たった人の気持ちを考える勉強をしましょう。
4 発問
・ゆかさんは、悪い子だろうか。
・あい子さんは上手だから油断していたのではないか。
・ゆかさんは、ななみさんが嫌いなのだろうか。
・なぜ、ななみさんはボール運動が苦手なのに、ドッジボールをしているのだろう。
・ゆかさんのいいところはなんだろう。
・この話で幸せなのは誰だろう。
・ななみさんは、次もドッジボールをやるだろうか。
・あい子さんは、ななみさんになんと声をかけるだろうか。
・次回、ゆかさんがボールに当たったら、ななみさんはなんと声をかけるだろうか。
5 まとめ
公正・公平な心をもつために大事なことは、「今」を見つめるということ
このポイントを押さえてまとめができるといいですね!
はい、ということで今日は
『2年「ドッジボール」【公正、公平、社会正義】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。
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