スキルアップ

子どもの言うことを真に受けるな!

こんにちは。Kishです。
今日は「子どもの言うことを真に受けるな!」
このテーマでお話していきます。

子どもってかわいいですけど,思ったような反応や行動をしないときってありますよね。
今日の記事では、子どもの心理について説明しています。
どうぞご覧ください。

今日の記事は,若手教師向けのものとなっていますが,
中堅・ベテランの先生が読むことで,新しい知見を得られるものにもなっています。
教師という仕事の方は、是非お読みください。

目次
①「子どもは純粋」は半分正解。
 ・純粋だが,ずるがしこさもある。
 ・現代は子どもの早熟化。
②子どもは,だます?
 ・大人のことを見る目はそれぞれ。
 ・本心と自己防衛
 ・自己防衛は命に関わるスキル。
③うれしいときに「うれしい」とは言わない。
 ・いつもとちがうプラスな行動をする。
 ・「本当に大切なものは目に見えないんだよ。」
④じゃあどうしたらいいの。
 ・よく聞く。
 ・すぐに反応しない。
 ・相手を想像する。
 ・自分が言われたらと想像する。

では,早速本題です。

①「子どもは純粋」は半分正解

純粋だが,ずるがしこさもある。

子どもは純粋です。それは本当です。
知識が充分でない,
多様な考えを充分に身に付けたとは言えない段階なので,
思ったことを素直に言ったり,書いたりします。
しかし,それは半分正解です。

厳しい現実ですが,子どもはずるがしこさもあるのです。
子育て経験者ならきっと,お分かりになるでしょう。
「あんなに素直だったのに,嘘をつくなんて。」
「なんでごまかすんだろう。」
そんなことを子どもに思ったことがあるのは,一度や二度ではないと思います。
では,なぜ純粋なまま大きくなってくれないのでしょうか。
複雑に要因が絡み合うので,一概には言えませんが私は

「子どもの世界ではそうしなければ生きていけない。」

からだと考えます。
子ども同士は,同世代なので話題や興味の対象が重なりやすく,仲も深まりやすいです。
その上で,「友達よりもいい思いをしたい。」「ぼくは○○くんよりすごい。」と思われたい欲求が出てきます。
するとどうなるか。
相手をけん制したり,嘘をついてまで物を手に入れたりしようとします。
いわゆる悪い心が芽生えていくのです。
私は,これはいけないことだとは思いません。
大人の世界では,ある程度「ごまかす」「嘘」は
「社交辞令」として世渡りの術として受け入れられているからです。
子どもだからダメ,という指導はあまりにも理不尽すぎます。


現代は子どもの早熟化。

「そんなこと言っても,子どもは子どもでしょ。」
そんな声が聞こえてきました。
大人の世界の常識を子どもの世界に流用するのは,納得がいきませんか?
現代の子どもたちは,精神の早熟化が進んでいます。
ゲームやスマホに没頭し,
LINEやTikTokで不特定多数とスピード交流をし,
Youtubeで大人と同じ動画を見て知識を高めている。
確実に,それらを操作する対応力は,
子どもの方が圧倒的にスキルは上だと思いませんか。
現代の子どもは,子ども扱いされることよりも,
大人の仲間入りをさせて,
1人の人間として対話する方が,話を聞くのです。

②子どもは,だます?

大人のことを見る目はそれぞれ

子どもは,様々な目で大人を見ています。
憧れの眼差しで見ている子もいるし,
斜に構えている子もいます。
当然です。
現代の子どもは早熟しているので,
価値観が子どもなりに出来上がってしまっているのです。
大人を見る目は,子どもによって違って当然です。
例えて言うなら,大人の研修会でハイッハイッと手が上がらないようなものでしょうか。
現代の子ども達は,そんな雰囲気になって当然と言えます。
それを,「クラスの全員と仲良くしよう。」というお花畑のような,
甘い理想をもっている担任は,実態把握が不足していると言わざるを得ません。
「じゃあどうしたらいいんですか。」後ほど述べます。

本心と自己防衛

子どもの発言は,言葉じりだけ受けとってもいけません。
本心から言っていることもありますが,
自己防衛で生きている子もいるのです。
人は,感情や気持ちを全て言葉に表現するのは難しいのです。

やってみましょう。
今のあなたの素直な気持ちを教えてください。
「お腹がすいた」「寒い」「熱い」あたりがすぐ出てきます。
しかし,それらはあなたの心の100%を占める感情ですか。
・結婚のこと
・家族のこと
・恋愛のこと
・貯金のこと
・仕事のこと
・将来のこと
・家事
・読みたい本
・気になる映画
・観たいテレビ 等など

全く頭にないと言えるでしょうか。
「そりゃ言われたら考えるよ。」
というあなた。
「言われたら考える」ということは,
「心の中に考える種があるということ」です。
それらも全て語らなければ,心の中にあることを全て言ったとはならないでしょう。
「今の気持ちを教えて」という質問は、
厳密に言うと言葉にするのは非常に難しいのです。
つまり,子どもの言葉は「本心で言っていない可能性がある」ということです。
自分よりも年齢がかなり下の子どもが笑顔で話しかけてきたら,
教師になってよかったという幸福感で満たされるでしょう。
その上で子どもから発せられる言葉は,純粋だと信じ切って,
何かをしてあげたくなるでしょう。
それは,教師としての行動で,
本当によいのでしょうか。
あえて厳しく,警鐘を鳴らします。

子どもによっては命に関わるスキル

私は以前,学区に児童養護施設のある学校に勤務していました。
クラスの中の3割ほどが施設の子です。
施設にいる子どもは,様々な要因で児童相談所に保護され,児童養護施設にやってきます。
たくさんの子どもと接してきましたが,
共通して言えるのは

「生きることに必死」

なエネルギーが伝わってくるということです。
ジャンケンは全てをかけます。
勝つことしか想像しないまま勝負するので,負けたときには大パニックになり
す。
食べ物が絡んだ授業や実習は,目が△になります。
我先にと発表したり,一人占めしたりします。
逆に,友達と関わりを積極的に持たず,
1人で過ごすことにとにかくこだわる子もいます。
これまでの生い立ちは,想像を絶しますが,
きっと生と死の間で揺れ動いた毎日だったでしょう。
「ごまかす」ことや「嘘」をつくことは,
命に関わるスキルだったのです。
子どもは,本心を言ってはいけない状況になると本能的に言いません。
気に入られるためなら,嘘も悪いことと分かっていながら,言わざるを得ない状況もあるのです。

③うれしいときに「うれしい」とは言わない。

当たり前の話ですが,嬉しいときに「嬉しい!」とは言いません。
全く言わないとは言いませんが,感情を言葉にはいちいちしませんよね。
「え!」
「すごい!」
「やった!」
などという感嘆の言葉で表されることが多いでしょう。
「褒めたのに,嬉しくないんだな。」「喜んでいないな。」
これは,私が若い頃リアルに思っていたことです。
言葉じりしか受け取っておらず,理不尽に子どもを怒っていたこともありました。

いつもとちがうプラスな行動をする

子どもは褒められると,いつもを違う行動をします。
・表情がほころぶ
・ちょっとはねる
・友達に言う  etc
その時が,喜んでいる時なのです。
相手の気持ちを考えると,
「褒められても手放しには喜べない。でも嬉しい。」
という気持ちになるでしょう。
それが,いつもと違う行動によって表れるのです。
若い頃の私は,子どもの気持ちを慮ることができておらず,
「喜ばないなんて,褒めがいがない!」
なんて怒っていたことがありました。
今思うと,なんて未熟で恥ずかしいんでしょう。
その当時の子どもたちに,心から謝りたいです。

「本当に大切なものは目に見えないんだよ。」

サンテグジュペリの「星の王子様」に出てくるセリフです。
「本当に大切なものは目に見えないんだよ。」
私は教育は,無形財産だと思っています。
形のないものにこそ,真の価値もあると思っています。
子どもの言葉も,その1つです。
言葉は無形です。
文章として書いても,話した人の雰囲気や表情までは完全に記録することはできません。
その一瞬の言葉や表情を捉えて,どんな反応をするのか。
その積み重ねが,子どもとの信頼関係を生みます。
しかし,大切なものは目に見えません。
子どもの「嬉しい」,「悲しい」,「楽しい」,「つらい」といった思いは,
目に見えないのです。

④じゃあどうしたらいいの。

では,子どもの言葉を真に受けないために,本当のことを見るために,
どうしたらいいのでしょうか。
ポイントは3つです。

1つ目は「よく聞く」
子どもの話,言葉をよく聞くことです。
すぐに反応しないことが大切です。
話し泥棒と言って,よく人の話を途中で取ってしまう人がいます。
子どもに対しては特に話し泥棒にならないことが必要です。

2つ目は「相手を想像する」
 子どもは今どんな心境だろうか。
 どうして今こんな話題を言っているのだろうか。
 「先生,風邪引いたかもしれません。」
 これは「大丈夫,風邪じゃないよ。」
という返事を期待しているのではありません。
「しんどいので『保健室で休んでいいよ。』と言ってほしい。」という返事を期待しているかもしれません。
無条件に子どもの要求を呑みましょうというわけではなく,
子どものことを想像をすると,返事の言葉も若干違ってくるのではないでしょうか。

3つ目は「自分が言われたら、と想像する」
 自分がもし子どもで,先生に「ちがうよ」と言われたらどうでしょうか。
 きっと予想以上にショックを受けるのではないでしょうか。
 また,
「すごいね!」と言われたら,天にも昇る気持ちになるのではないでしょうか。
 2つ目の相手を想像することが難しい人は,この3つ目,自分が言われたら,と想像してみると,
 意外と見えてくるものが多いです。
ということで,今日は「子どもの言うことを真に受けるな!」というテーマでお話ししました。
子どもと1体1で人として関わること,それはそれで大変素晴らしいことだと思いますが,
大人として,ムキになってしまうときがあります。私も以前はそうでした。
しかし,すぐに反応するのではなくて,傾聴することが大切です。
それがつまり,「傾聴できる子」を育てることになるのです。
子どもにとって,ゆとりがあって,話を親身に聞いてくれる,
その上で大人としてのアドバイスをくれる。
そんな担任の先生は,きっと信頼されるでしょう。
担任の先生を誇りに思う子どもが育つでしょう。

今日はここまで!

次回をお楽しみに!