特別の教科 道徳

道徳の『まとめ』はこうする!

こんにちは。Kishです。
今日は道徳科の授業のまとめ方についてお話します。
道徳の授業って難しいですよね。
特に話し合いが盛り上がれば盛り上がるほど,
どうやってまとめていいのか分からなくなってしまいます。
今回はその悩みをズバリ,解決しようと思います。

結論から言うと,4つのパターンを状況に合わせて使いましょう。

4つのパターン
①教師の説話をする。
②子どもに聞く。
③展開でキーワードを拾う。
④あえて言葉にしない。

詳しく説明します。

「まとめ」に困っている!

先日講演をした学校でこんな質問を受けました。

「道徳のまとめで困っています。
話し合いは盛り上がっても,まとめがストンと落ちないんです。
もしくは言葉にできても,なんだか違和感があります。
いいまとめの方法があったら教えてください。」

確かに,まとめってどうやって言葉にすればいいか分かりませんよね。
適切な発問で
話し合いが盛り上がるのはいいのですが
盛り上がれば盛り上がるほど,
「まとめをどうしよう」と恐怖感が出てきますよね。
その気持ち,よく分かります。

でも,この記事を読んだあなたは,
もう恐れる必要はありません。
4つのパターンで全て大丈夫です。
これからお伝えする方法を,
状況に合わせて使ってください。
「状況に合わせて」というのはどういうことかと言うと,
「この教材にはこのまとめ方!」と決めるのではなく.
「どのまとめ方が子どもにしっくりくるのかな。」と
子どもたちの話し合いの様子を見ながら,決めてほしいということです。
型を決めると,その型に子どもたちの思考を当てはめようとしてしまいます。
あえて型を決めず,
子ども達の思考の流れに合わせて,まとめ方を決めてください。
そうすることで,子どもは
「自分たちの話し合いが,いいまとめになった!」と
自己肯定感をもつことができます。

それでは,4つのポイントを解説しましょう。

①教師の説話をする。

道徳の指導書の終末部分によく書かれている例ですね。
例えば家族愛を扱う教材だったら,家族の温かさについて先生の経験を語ります。
実は私は,説話はあまりしません。というかほとんどしません。
なぜなら,教材ごとに内容項目に合致した経験談を持ち合わせていないからです。
適切なものがあれば話すでしょうが,
「親切について話しましょう。」と言われても,
かなり思い出す時間が必要です。
しかし,だからといってしなくていいとは言いません。
合致する経験談または「ちょっと似ているかな。」という話があれば,
ぜひ説話にチャレンジしてみてください。
担任の先生自身の話は,やはり子どもは一番関心が高いです。
あとに紹介する3つよりも,確実に心に染みると思います。

 

②子どもに聞く

次は「子どもに聞く」です。
まとめの段階で,
「親切ってつまりどういうこと?」とストレートに子どもに聞きます。
子どもは「親切は○○です。」と話し合ったことをもとにして,考えを発表します。
その言葉をそのまま板書し,まとめとします。
簡単ですね。

しかし,実際は簡単にいく時といかない時があるので注意が必要です。
話し合いで充分に内容項目について話し合いが深まり,
子どもが本質に近付けた時は,このまとめ方が有効です。
短い言葉で表せるということは,
それだけシンプルに本質を捉えているということです。
例をあげると,以下のとおり。

・「思いやりはリレー。つながっていく。」
・「家族は値段のない宝物。」

何かに例えたり,詳しく掘り下げたりして,
まとめの言葉で表現するでしょう。
逆に言うと,話し合いが充分に深まっていない場合は,
短い言葉でまとめを表すことができません。
「親切ってつまりどういうこと?」と聞いても,
発表する子がおらず,みんな困った様子・・・となりかねません。
もしくは,声の大きな子が発表して,
それをまとめにせざるを得ない,微妙な状況になるでしょう。
「子どもに聞く」は話し合いが充分できた時に,
有効なまとめ方です。

 

③展開でキーワードを拾う。

3つ目は疑問に思った方もいるでしょう。
「展開」でキーワードを拾います。
どういうことかと言うと,
話し合いの中で,大切になるキーワードが出てきます。
そのキーワードを,まとめを書くであろう場所に
メモのように書きためていきます。
例えば「親切」を扱う教材なら,

・された人がいい気持ち。
・心がつながる
・リレーみたい

などです。
これらはあくまでも私の想像の中の言葉なので,
実際に授業で子ども達から出てくる言葉を
書きためていきましょう。
また,多すぎると混乱するので多くても3つ程度にとどめましょう。
そして,話し合いが一区切りついたところで
まとめコーナーを見てみると,
キーワードがたくさんたまっています。
これに対して,
「みんなが話し合いで言った大切な言葉がこれです。
何か付け足したい言葉はあるかな?」と聞いて,
まとめの言葉の確認をし,精度を高めます。
それを,今回のまとめとするのです。
まとめは,「授業の終了10分まで程度の時間帯で必ずしなければならない。」
なんてきまりはありません。
あるとすれば,昔の慣習に縛られているだけです。
道徳の授業はもっと柔軟に発想してよいのです。
授業の3分の2の時間を使って薄く広くまとめをしていく。
そんなイメージが③展開でキーワードを拾う,です。

 

④あえて言葉にしない。

最後は,一番シンプルです。
言葉にしない。
道徳科の内容項目は,ほとんどが言葉にするのは難しいです。
無理に言葉にしようとすると,
なんだか安っぽい言葉だったり,
借りてきたような言葉になったりします。
そうなるぐらいだったら,
まとめはやめましょう。
言葉にできないほど,
話し合いが高まったと考えればいいのです。
言葉にできないけど,
大切なことが分かった,と思えればそれでいいのです。
あえて全員で1つの言葉には収束せず,
授業を終わる時があってもいいのです。
また,話し合いの余韻を残したまま授業を終われるため,
生活に道徳を自然とつなげることができます。
ただし,注意点があります。
④をする場合は,必ず振り返りや感想を書かせるようにしましょう。
授業で言葉にせずまとめをしなかったら,
フィードバックする場はノートやワークシートの記述しかありません。
それすらしないようでは,単に「やりっぱなし」の授業となってしまいます。
そうならないよう,授業のまとめと,振り返りの場とを明確に使い分けてください。

以上,4つのポイントについてお伝えしました。
確認すると,

道徳のまとめ方は
①教師の説話をする。
②子どもに聞く。
③展開でキーワードを拾う。
④あえて言葉にしない。

でした。
それぞれに注意するポイントがありました。
それらを頭に入れながら,この4つの引き出しを使い分けてください。
慣れてくると,ドンと構えて子どもの意見を聞いて,
よいまとめをすることができますよ。
先生の道徳の授業づくりの参考になれば嬉しいです。
では今日はここまで。

また次回をお楽しみに!