こんにちは。
今日は『3年「さと子の落とし物」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
友情、信頼
道徳のど真ん中の内容項目ですね。
いざ授業をしようとすると、
「友達と仲良くするのがいいこと」
「信頼しあうことは大切」など
『月並みなまとめ』しかたどりつかないことが多いですよね。
でもそんなこと、
子どもたちは知っています。
知っていることを45分かけて確認する授業なんて、
なんとつまならないことか・・・・
せっかくなので、今日の記事を読んで、
グッと深まる道徳をしましょう!
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
B 主として人との関わりに関すること
「友情、信頼」
3・4年の目標・・・・友達と互いに理解し、信頼し、助け合うこと。
3年生「さと子の落とし物」(日本文教出版)
さと子は遠足で公園に行きました。
お弁当を食べ終えたとき、家の鍵を落としたことに気付きました。
女の子たちは来た道を戻ってみんなで探すことにしました。
男の子たちは自分たちだけで遊び始めようとしましたが、気になります。
先生にわけを聞いて、「遊びはいつでもできるよ。」と言って鍵を探しにいきました。
みんなで一列になり、ゆっくり這うようにして進み、すなをかき分けながら探しました。
しばらくして誰かがさけびました。「あった!」
今までしょんぼりしていたさと子が、やっとにっこり笑いました。
2 内容項目と教材
(1)友情とは
「友情、信頼」はその順番に意味があります。
「信頼」よりも「友情」が先にあります。
つまり、信頼よりも友情を優先して考える必要があります。
広辞苑で意味を調べると、
友情・・・友達の間の情愛
信頼・・・信じて頼りにすること
とあります。
信頼よりも友情が大切であることの例を挙げます。
あなたは道を歩いています。
通行する見知らぬ人に、
いきなり住所などの個人情報を伝えることはできますか?
きっとほとんどの人が「できない」と答えるでしょう。
「何で教えないといけないの?」
「どこにばらされるか分からない。」
「そもそも、だれ?」
そう思うのは「信頼」という基礎が、人間関係の中にできていないからです。
つまり、友情がないと信頼もできないのです。
では「友情」とは何でしょう。
広辞苑の意味の通り,
「友達との情愛」略して「友情」なのです。
では、情愛とはなんでしょうか。
再び広辞苑で調べると、
情愛・・・情け、いつくしみ、愛情
具体的には、
☆友達の気持ちに共感する
☆友達に対して好感をもつ
これらのことを数十回、数百回くり返して、
「友情」と呼べる関係ができあがるのです。
その過程の中では、自己開示が必ず必要です。
自分のことをさらけ出したり、
本音を言い合ったりして、
関係が深まっていくのです。
そうしてできた「友情」があるから、
初めて次の「信頼」が成り立つのです。
教材研究の場面では、
①「友情」か「信頼」か、どちらに重きを置いているのか考える。
②例えば「友情」に重きが置かれているなら、登場人物同士は
なぜ友達と呼べるのか、本当の友達と呼べるのか、などという発問を考える。
この流れで教材研究をすると、本質に向かう授業ができます。
(2)友情に重きを置く
「さと子の落とし物」では、『友情』に重きを置きましょう。
男女関係なくクラスのみんなで助け合う話です。
友情に男女の関係をいれて考えることは実は高学年の内容です。
実際、高学年の「友情、信頼」の目標は次のようになっています。
友達と互いに信頼し、学び合って友情を深め、異性についても理解しながら、人間関係を築いていくこと。(5・6年「友情、信頼」)
しかし、今回の教材では男女の区別が教材の核になっているので、そこに視点を当てて考えましょう。
実際には、2つの友情を考えます。
A 女の子同士の友情
B 男女の友情
それぞれ考えます。
A 女の子同士の友情
さと子が「鍵をなくした!」と言ってからの行動を考えてみましょう。
・「合鍵がすぐ作れるよ。」と励ましている。
・「どのあたりで落としたの?」と詳しく聞いている。
・「みんなで探しに行こう」と提案している。
B 男女の友情
対して、男女間の友情はどうでしょうか。
女の子たちが何やら変わった動きをしていることに気付きます。
この時点で、変ですよね。
男女の仲がよいのであれば、さと子の鍵を「探そう」となった時点で男の子にも声をかけてもいいはずです。
しかし、女の子たちが変わった動きをしていることに気づいて、異変に気付きます。
ということは、女の子たちは男の子たちを
・頼りにしていない
・力を借りなくても大丈夫
このいずれかを思っているということです。
仲の良いクラスなら、最初から一緒に探してもおかしくないですよね。
ここの男女の関係のちがいを、考えてみたいですね。
また、男の子は女の子たちが鍵を探しに行っている姿を見て、最初は構わず遊ぼうとしましたが、次第に気になり始めます。
そのうち、
・先生にわけを聞いて、
・男の子みんなで相談して
・「遊びはいつでもできる」と結論づけて
・探すのを手伝っています。
なぜ、男の子たちはこのような行動ができたのでしょうか?
男女の関係がそれほど深くないのであれば、構わずに遊んでいてもよかったはずです。
しかしそうはしなかった。
男の子の目標とする関係はどんな関係だったのでしょうか?
男の子たちは、何を考えて手伝ったのでしょうか?
女の子たちは迷惑ではなかったのでしょうか?
みんなで考えてみたいですね!
3 導入
・そもそも論で聞いてみましょう。
「友達ってどういう人のこと?」
☆仲の良い人
☆一緒に遊ぶ人
☆助け合える人
などと多くのことを言ってくるでしょう。
・そこで、問い返しをしてみます。
★「ケンカをして仲が悪くなったら、友達ではないの?」
★「いっしょに遊ばなかったら、友達ではないの?」
などと、ちょっと導入時点で掘り下げてみます。
・ここでは、結論を出すことが目的ではありません。
「友達って、自分が思っているよりもっと広い意味がありそうだ」と
考えたいという意欲を高めることが目的です。
・「今日は友情について考えていきましょう」と言い、
教材に入ります。
4 発問
・男の子たちはなぜ探すのを手伝ったのだろう。
・女の子たちは、なぜ男の子に声をかけなかったのだろう。
・もし男の子が手伝わなかったら、どうなっていただろうか。
・この話で喜んでいるのはだれだろう。
・女の子たちは、男の子に声をかけなかったのだから、手伝ってほしくはないのではないか。
・もし鍵が見つからなかったら、みんなの気持ちは無駄になるのだろうか。
・このクラスの友情レベルは、上がった?下がった?
・このクラスはいいクラスだろうか。
5 まとめ
男女関係なく、相手のことを考えて助け合うことが大切
このことが、子どもの言葉を使ってまとめられるといいですね!
はい、ということで今日は
『3年「さと子の落とし物」【友情、信頼】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。
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