こんにちは。
今日は『1年「ひつじかいのこども」【正直、誠実】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
正直と誠実、よく似た言葉ですね。
この2つは、どうちがうのでしょうか?
2つの言葉の違いを説明できる人は、
道徳マスターと言っていいでしょう!
この2つの言葉の違いを押えると、
「正直、誠実」の内容項目の
授業づくりが一気に楽しくなります。
正直と誠実の違い、
考えていきましょう!
では、解説です!
順番に解説します。
A 主として自分自身に関すること 「正直、誠実」
1・2年の目標・・・・
うそをついたりごまかしをしないで、素直に伸び伸びと生活すること。
1年生「ひつじかいのこども」(日本文教出版)
あらすじ
羊飼いの子どもは、退屈だったので、
「オオカミが来たぞ!」と大人たちにうそを叫びました。
慌てて出てくる大人たちを見て、子どもは喜びました。
何度もうそをつくので、とうとう、本当にオオカミが来ても
だれも助けには来ませんでした。
2 内容項目と教材
正直、誠実それぞれどのような意味でしょうか。
それぞれ広辞苑では次のような意味です。
誠実・・・真面目で真心がこもっていること
うーん、言葉の意味はこのようになっていますが、
この言葉をどのように授業で使えばいいのでしょうか。
結論を言います。
順番が大切です。
誠実は、言葉→行動
なのです。
正直とは何でしょうか。
「正直に言いましょう。」等と使いますね。
これは、自分の行った行動を、
ウソいつわりなく言葉で表現しましょう、という意味です。
これは、行動が先にあって、そのあとに言葉がある。
行動→言葉ですね。
もっと具体的に考えてみます。
先生に見つかりました。
先生は「何があったか正直に言ってごらん。」と言います。
するとAくんは
「遊んでいて、手が当たって花瓶を割ってしまいました。ごめんなさい。」
と言いました。
Aくんは正直でしょうか?
これは、「花瓶を割ってしまった」(行動)Aくんは、
自分の行いを謝る(言葉)という流れです。
行動→言葉の流れのことを正直と呼ぶのです。
対して「誠実」はどうでしょうか。
正直と似ていますが、「正直に言いましょう。」のように
「誠実に言いましょう。」とは言いませんよね。
これは、先に言葉があるからなのです。
例えば約束を守る人。
この人は誠実と呼べるでしょう。
「約束をする」(言葉)行為の後に、「守る」(行動)があるという流れです。
言葉→行動、ですね。
発した言葉やルールに基づいて行動をすることを、誠実と呼ぶのです。
話を戻します。指導要領には「正直、誠実」と書いてあります。
これは、順番が大切です。「誠実、正直」とは
なっていないことがポイントです。
正直は、行動が先でした。
「正直」が先にくるということは、指導要領では、「まず行動することが大切。」と言っているのです。
まずは行動をして、言葉で後から補足する。
言葉を先に言って行動するよりも、
まずは先にいいと思うことをやってみましょう。
動いてみて、初めて分かることがあるんです。
ここまでは拡大解釈かもしれませんが、
実際に教材研究をする際には、
これを軸として考えましょう。
1つの教材で両方を大切に扱っているものはほとんどありません。
たいていは正直か誠実、どちらかの色が濃くなっています。
そして、正直なら正直、誠実なら誠実、重点がどちらか分かったら
その行動をしている人物に焦点を当てて、発問を作ります。
教材を見てみます。
羊飼いの子どもは、正直でしょうか。誠実でしょうか。
自分の言葉(うそ)によって、大人が信じたり信じなかったりしています。
子ども自身はそれを面白がったり、困ったりしています。
行動ですね。
つまり、言葉→行動ですから、誠実に重きを置いて考えればいいということになります。
自業自得、因果応報という言葉がまさしく当てはまりますね。
人に誠実な態度をとっていなければ、自分にいつか返ってくるのです。
子どもの悪いところに目がいきやすいので、その流れから、
うそをつくと、自分も人もイヤな気持ちになる、ということを押さえればいいでしょう。
ただ、それだけでは面白くないので、
子どものよいところ
大人たちの悪いところ
これも考えてみたいですね。
子どものよいところ
・楽しい、うれしい、悲しいを素直に表現している
・自分で楽しいことを考えることができる。
大人たちの悪いところ
・子ども相手に大人げない
・責任を子どもに押し付けている
などでしょうか。
このあたりが子どもから出てくると、多面的・多角的な視点ということになるので、授業が面白くなりそうですね!
3 導入
T:教師 C:子ども
T:うそをつくことはいいことですか? 悪いことですか?
C:悪いこと!
C:絶対ダメ
T:どうしてうそはいけないの?
C:悲しくなるから。
C:イヤな気持ちになるから。
T:誰が?
C:相手が。
C:友達がイヤな気持ちになる。
T:イヤな気持ちになったら、どうなるの?
C:心がモヤモヤする。
C:仲よくしたくないと思う。
T:うそをついたことがある人?
C:(挙手)
T:うそをつかれたことがある人?
C:(挙手)
T:では今日は、うそをつかれたらどんな気持ちになるか、くわしく考えてみましょう。
みんなの言う通り、心がモヤモヤするのかな?
4 発問
・ひつじかいの子どもは、なぜうそをついたのだろう。
・ひつじがしゃべれるとしたら、子どもになんと言うだろう。
・こどもは、本当にオオカミがいつか来ると思っていたのだろうか。
・この後、大人たちは子どもになんと言うだろう。
・大人たちは、1回目と2回目で助けに行く気持ちは同じだろうか、変わらないだろうか。
・ひつじかいの子どものいいところはどこだろう。
・この話で、喜んでいるのは誰だろう。
・嘘をつかれても、助けなければ困るのは大人ではないか。
5 まとめ
うそをつくと、自分も人もイヤな気持ちになる
これは押さえておくべきことですが、他にも子どもの長所や、大人の短所を考えることで、まとめに深みが出てくるかもしれません。
■うそをついたらいけないのは、大人も子どもも同じ。
などなど、授業の流れでプラスアルファのまとめができるといいですね!
はい、ということで今日は
『1年「ひつじかいのこども」【正直、誠実】の指導案はこうする!』
このテーマでお送りしました!
また明日もお楽しみに。