特別の教科 道徳

【道徳】登場人物を増やして思考を広げる

登場人物を増やす

こんにちは。
今日は、
『【道徳】登場人物を増やして思考を広げる』
このテーマでお話しします。

道徳の授業づくりでよく聞く話題があります。

・子どもの思考をどうやって広げたらいいか分かりません。
・子どもの考えがなかなか広がらないんです。

そのお悩み、よく分かります。
教科書に書いてあることだけを追うと、
教材によっては一部分しか書かれておらず、
思考を広げようがない時があります。
いくら展開を工夫しても、
教科書を抜けられないということはよくあります。

そこで、思考を広げる方法を1つお伝えします。
ズバリ、
登場人物を増やすことです。

どういうことか。
例を挙げた方が具体的に説明できるので、例を挙げます。
「自分の学年じゃないじゃん」と思ったあなた、
自分の学年に使えるものを探すという観点で読むと、
きっと多くの気付きがありますよ!
2年生「ぐみの木と小鳥」を使って説明します。

「ぐみの木と小鳥」あらすじ
ある日、小鳥がぐみの木に止まって一休みしていました。するとぐみの木が言います。
「りすさんが病気になって困っています。小鳥さん、私のぐみをりすさんに届けてくれませんか?」
小鳥は快く引き受け、りすさんに届けます。
また、嵐の日も小鳥はぐみの木の頼みを聞いて、強い風の中、りすさんのもとへぐみを届に行きます。
そうするうちに、りすさんは元気になりました。

この教材の内容項目は「親切、思いやり」です。
定番教材と言われる『ぐみの木と小鳥』ですが、
思考の幅を広げるためにどうすればいいのでしょうか?

よくある実践としては、
・嵐の日に飛び立つときの小鳥の気持ちを考えよう。
・りすのもとへ行ったときと行かなかったときの、気持ちの違いはなんだろう。
と発問して、役割演技をすることです。

しかし、これでは
「他者への自己犠牲を伴う親切がよい」という間違った価値観を与えかねません。
そうではなく、小鳥が運んだものは、ぐみだけでなく、ぐみの木の優しさであり、
小鳥はそのぐみの木の優しさが伝染して、りすのもとへ飛んだとも言えるのです。
小鳥は、「りすとぐみの木の関係」をつなぐ『優しさ』という架け橋になったのです。
自己犠牲がよいという話ではありません。

ここまで思考を広げるには、どうすればよいか。
先ほども伝えた、登場人物を増やすことです。

例えば、次のような発問はどうでしょうか。
○りすは、ぐみよりもどんぐりの方が好きだから、どんぐりの木に頼んでどんぐりを運ぶ方が喜ぶのではないか。

これは、話には登場しない「どんぐりの木」を登場させています。
こうすることで、
「ぐみの木」と「どんぐりの木」の両者を、りすの立場から比較して考えることができます。
この比較が大切なのです。
比較することで、人は思考が進みます。

例えば、
①100円の地元産大根
②80円の賞味期限間近の大根
2つ並べられることで、比較できるし、
納得して決めることができます。

100円の地元産大根
しかなければ、選択肢はないので、
「そんなものか。これでいいか。」と
思考はストップします。

そうなんです。
登場人物を増やすということは、
選択肢を増やして比較する
ということなんです。

この
「登場人物を増やす」という授業スキルは、
道徳の他の教材でも広く使えますし、
他の教科でも有効です。
算数の別解や、わざと間違える解答を作る、
国語で筆者の例をわざとちぐはぐなものにする、など
「比較」を念頭に置くことで、
授業レベルがグンとアップしますよ!

ぜひ、トライしてみてください。
事前準備は何もいりません。
○○と○○を比べてみるとどうかな?
という授業者の好奇心が大事です。

レッツトライ!