「道徳の授業って、何をどう教えればいいのか分からない」「発問を考えても、子どもが教科書の答えしか言わない」。そんな悩みを持つ先生に向けて、道徳の授業づくりを5つのステップに分けて紹介します。小学校の担任を16年続け、校内研修や他校の研修でも話してきた手順を、初めての先生にもわかる形にまとめました。
書いた人:元小学校教師(16年)。道徳の指導案をnoteで約4,000本公開
道徳の授業が難しいと感じる4つの理由
- 何を教えればいいのか分からない
- 授業の組み立て方が分からない
- 子どもがどこまで分かっているのか、見取りにくい
- 子どもが発表しない
この4つは、授業づくりの手順がはっきりしていないことから起きます。逆に言えば、手順さえ決まれば、道徳は「1人で組み立てられる教科」になります。
道徳の授業づくり 5つのステップ
| ステップ | やること | 合言葉 |
|---|---|---|
| ① | 教材を読む | 疑って読む |
| ② | 発問をつくる | 当たり前をひっくり返す |
| ③ | 板書を考える | スカスカの板書にする |
| ④ | まとめをイメージする | 懐を広くもつ |
| ⑤ | 評価をする | 発言の裏を考える |
① 教材を読む:「疑って読む」
教科書の教材は、その時間の内容項目について考えるように作られています。そのまま読むと、教師も子どもも同じ答えにたどり着いてしまいます。だから最初に、教師が「本当に?」「なぜこの人はこうしたの?」「もし〜だったら?」と疑いながら読みます。
たとえば「電車で席をゆずる」という場面ひとつでも、親切、思いやり、節度・節制、勇気など、いろいろな見方ができます。これが道徳でいう「多面的な見方」です。教師が教材を多面的に読めると、子どもの思わぬ発言も受け止められるようになります。
② 発問をつくる:「当たり前をひっくり返す」
授業の中心になる発問は、子どもがすぐに答えられる質問ではなく、「当たり前」をひっくり返す問いにします。型は大きく3つです。
- 「もし〜なら、どうだろう」
- 「どちらが〇〇だろうか」
- 「本当に〇〇なの?」
主発問は1つ、問い返しの発問を2〜3つ考えておくと、授業に1本の筋が通ります。いちばん大事なのは、その発問が先生自身も「子どもに聞いてみたい」と思える問いかどうかです。
③ 板書を考える:「スカスカの板書にする」
板書計画を細かく立てすぎると、子どもの発言をその枠に当てはめたくなり、新しい気づきが生まれにくくなります。事前に決めるのは骨組み(登場人物の関係や、行動のパターンを整理する図)だけにして、授業中に子どもの言葉で埋めていきます。板書は、子どもの考えを整理するメモです。
④ まとめをイメージする:「懐を広くもつ」
道徳のまとめは、ねらいの言葉に1点で着地させるものではありません。ねらいに向かう考えなら、どれも受け止められる「お盆」のようなゴールをイメージしておきます。子どもの意見を1つに絞りこむのではなく、共通するキーワードや、本質をついた発言を拾ってまとめます。
⑤ 評価をする:「発言の裏を考える」
子どもの発言や感想は、氷山の一角です。うまく言葉にできなくても、分かっていることはたくさんあります。「書けていない=分かっていない」と決めつけず、その発言の裏で何を理解しているのかを読み取ります。1時間ごとの見取りを積み重ねることが、通知表の「大くくりな評価」につながります。
ステップごとに、もっと詳しく
それぞれのステップの具体的なやり方(教材の読み方の手順、発問の作り方、板書の型、まとめ方、評価の書き方)は、noteの記事でくわしく解説しています。
5つのステップを、くわしく
- みんな笑顔になる道徳科授業づくりの5ステップ(全体)
- 【公開】道徳の教材研究法(時短)(①教材を読む)
- 【道徳】授業を貫く発問の作り方3か条(②発問)
- それは質問?それとも問い返し?(②問い返し)
- 1時間の板書を横書きにするだけで、考える子が育つ!(③板書)
- 道徳の「まとめ」は、してはいけない!(④まとめ)
この指導案シリーズは、この2年で延べ4,300人以上の先生を支えています。
まとめ
道徳の授業づくりは、①疑って読む、②当たり前をひっくり返す、③スカスカの板書にする、④懐を広くもつ、⑤発言の裏を考える、の5つのステップで組み立てられます。まずは手元の教材を1つ選び、「本当に?」と疑って読むところから始めてみてください。





